我事において後悔をせず、というのは宮本武蔵が晩年に残した言葉で、聞いたことがある人も多いと思います。私は、研究生活においてはそれほど後悔はありませんが、金(かね)という点では、60歳になってちょっと後悔しています。

 

 私の研究者人生は、大した成果も残せず終了しましたが、研究マネジメントにおいては、いくらか予算の獲得もしましたし、他の研究者には少しは貢献したのではないかと思っています。研究はかなり適材適所の面があり、自分の居場所ではそれなりに働いたのではないかと思いますので、まあそれほど後悔はありません。

 

 若いときは研究第一に思っていたので、投資には余り関心がありませんでした。歳をとってようやく老後のことを考えるようになったのですが、65歳以降で3000万円必要とか、子供(二人)の教育費に2,3000万円かかるとか、厳しい現実を直視するようになりました。

 

 私の34年の生涯年収は、手取りで2億円台(退職金含んで、多分半ばくらい)です。これでも、教育費、住居費(家を買う場合もあり)、生活費を考えれば、意外と残らないものです。自動車は保険や税金が結構かかるので、金食い虫です。若い人が自動車を持てなくなっているのも分かります。

 

 私は、不安になった50半ばでNISAを始めましたが、NISA以外の株式投資も当時から始めました。売買による収入目的ではなく、主に配当狙いです。銀行の利率がほぼゼロなので、株式の高配当は魅力的です(高い銘柄では数パーセントもあります)。40代の頃には、結構貯金があったのですが、普通預金に入れてあるだけで、まったく運用していませんでした。それを、今になって(ちょっと)後悔しているという訳です。

 

 投資は、定期的に収入がある人が始めるべきであって、定年になってから始めるべきではないと思っています。損しても本業で取り戻せる余裕のある人でないと、取り戻そうとして深みにはまっていくリスクが高いのと、ある程度経験がないと落ち着いて株価を見ていられないと思います。(1000万円の投資だと、評価額は平気で一日に10万20万変化します)。

 

 なので、若い人と話す場合には、投資は早くに始めるべきと、頻りに勧めています。今は、NISAやiDeCoが出されて、投資がしやすくなっています。積み立てNISAでは、40万円で20年間積み立てられるので、定期的な収入がある人は、やっておいた方がいいでしょう。これは投資信託で、証券会社や銀行によって色々なパターンが用意されているので、興味あるのを選んで購入します。  

 iDeCoも投資信託ですが、5000円から始められ、税金上の優遇措置があります。ただし60歳になるまで引き出せません。両者とも当然リスクもありますが、長期に考えれば、銀行よりはましでしょう。昔の積立預金のようなものです。

 

 今は家族NISAもしており、生前贈与の代わりとしています。私がしているのは普通のNISAなので、株式投資が主体です。普通のNISA制度はそのうち終了するのですが、何らかの代わりとなる優遇制度が出てくるのを期待しています。

 

ここから豆知識

 我事において後悔をせず、ですが、映画「宮本武蔵」では、精神的な苦しみの中で発した言葉です。武蔵は、多くの決闘で相手を殺していますが、子供を殺すこともありました。仏像を彫って鎮魂を祈りますが、子供を殺す非情さを非難されることもありました。その際に出た言葉です。(ずいぶん昔に見たので、記憶違いかも知れない)

 宮本武蔵は何回も映画化されていますが、萬屋錦之介主演のシリーズが有名です。関心ある人は、全5作を見ることを勧めます。佐々木小次郎を高倉健がやっていたりして、キャストも豪華です。