はい、おはようございます
先ほど、先生から第2クールの治療
【キロサイド大量療法】
についての説明を軽く受けました
いつものごとく
ざっくりとまとめたいと思います
〜キロサイド大量療法とは〜
【前提知識】
・細胞の増殖スピードは、癌細胞>>>正常細胞
・細胞は、適度にざっくり言うと
お休み
↓
DNAのコピー
↓
細胞分裂
(コピーしたDNAの分配)
といった3つの過程を繰り返し、増殖する
・各々の細胞は各々のペースで分裂しており、上の3つの過程にある細胞がいずれも存在している
ではいきます
キロサイド(一般名:シタラビン)は抗癌剤の中でも「代謝拮抗薬」というものに分類されます。
「代謝拮抗薬」とは、細胞増殖においてDNAをコピーする過程に作用します。
キロサイドは、コピーに必要な材料のフリをすることによって、DNAを正しくコピーできないようにするのです。
上の説明のポイントは、
【キロサイドは普通、増殖の3つの過程のうち「DNAのコピーの過程」に効く】
という点です。
第1クールでよく行われる、抗癌剤の24時間持続点滴。機械を使って、ダラダラと少量の抗癌剤を身体に投与するのですが、これはキロサイドがすべての細胞に効くわけではなく、「DNAのコピーの過程にある細胞」にしか効果がないためなのです。
「24時間流しとけば、
どっかで作用してくれるだろう」
そんな緩いイメージです
…あの機械、めんどくさいですよね。笑
が、しかし
キロサイド大量療法では
その名の通りキロサイドを
「大量に、短時間で」投与します
不思議なことにキロサイドは、大量に投与され、その血中濃度が一気に上がると、
【増殖過程にある「すべての」細胞に
ダメージを与えることができる】
とのことです。
つまり、キロサイドの攻撃対象の幅が広がり、癌細胞を一気に殺すことができるのです。
その代わり、正常細胞へのダメージも大きくなるため、注意が必要です。
実はもう1つ、キロサイドを大量に投与するメリットがあります。それは、
【普通なら鉄壁の守りにある
癌細胞までも殺すことができる】
ということです。
ちょっとわかりにくいですよね。
白血病の癌細胞は、骨髄や血管内など、基本的に血液のあるところに存在します。
しかし、運悪く癌細胞が血管から漏れ出し、臓器に侵入してしまうと、そこで腫瘍を形成することがあります。
その腫瘍が、脳や中枢神経に出来てしまうとかなり厄介です。
なぜなら、脳や中枢神経は、BBB(Blood Blain Barrier ; 血液脳関門)という、鉄壁のバリアによって血管からの抗癌剤の侵入を阻止するからです。
いくら抗癌剤でも、BBBを突破しないことには効果はありません。
BBBを通過するための1つの方法として、
【抗癌剤の血中濃度を上げる】
というものがあります。
キロサイド大量療法では、キロサイドを「大量」かつ「短時間」で投与することにより、血中濃度を上げ、BBBを突破する戦略をとります。
これにより、第1クールの少量のキロサイドでは倒せなかった、残存した癌細胞も倒すことができるのです。
まとめます。
【キロサイド大量療法】とは
・癌細胞に、より強いダメージを与え
・第1クールでは倒せなかった
癌細胞も倒すことができる(かもしれない)
治療法である。
(ちなみに抗癌剤投与が隔日なのは「キロサイドの大量投与が身体に大きな負担となり、その休薬期間が必要だから」みたいな感じ?知らんけど。)
於 《第1クール 無菌病棟》