結婚して、知らない土地へ行きました。
仕事は主人の意向で辞めました。
新しい場所、新しい生活。
仕事を辞め、家事をするだけの毎日。
やはり、寂しさは隠せませんでした。
私の気持ちに気が付かない主人。
主人は独身だった頃の自分の生活ペースを変えることはありませんでした。
私の存在はなかったのです。
自分の部屋にこもり、本を読んだり、昼寝をしたり。
そこに、私の存在はなかったのです。
私は食べる為だけに生きていると思い始めたのです。
そう、豚以下だと。
食べることが出来なくなりました。
私は、段々気持ちがおかしくなって行きました。
主人が居ない時、何故か鏡を見ながら大きな声で泣きました。
そのうち、物音、風の音にでも、びくつくようになりました。
主人に話すと、精神病院にでもいけば?と。大人になって寂しいなんていうなと。
そして、そんな中での、考えてもなかった妊娠。
まだ、自分が子供なのに、とても子供なんて無理だと。
不安で不安で泣きました。
そして、気持ちがおかしくなっている私は、恐ろしいことに堕ろせばいいんだと
思ったのです。
病院に行く考えは浮かばず、妊娠を無かったことにしようと、冷たい水に腰を浸けたりしていたのです。とても恐ろしいことです。
でも、お腹の子供は元気に成長していきました。
ああ、この子は産まれてきたいんだ。
私は、やっと自分の人間とも思えない行動をしたことを、心から反省しました。
それからは、妊婦水泳などに通い、新しい土地には居なかった友達が出来、お腹の子供の成長を喜ぶことが出来るようになりました。
主人も妊娠を喜んでくれました。
里帰り出産をしました。
男の子。
初孫。
両家とも、喜びにつつまれていました。
主人も喜び、手紙を何通もくれました。
早く会いたいと。
私も早く会いたいと。
そうだったはずなんです。
でも、私の実家で実際に主人と会ってみると、全然違っていたのです。
主人は出産をした私はすっかり変わってしまったと言いました。良い意味ではなく。そう、とても悪い意味で。そして、とても冷たい目をして。
私と子供を遠ざけるようになりました。
笑顔もなく、帰っていきました。
私が、里帰りしている間に、主人は転勤になりました。
また、誰も知らない土地での生活が、私を待っていました。
寒い寒い粉雪の舞うなか、私は大事な大事な子供を連れて、これから待つ新しい土地での生活、冷たい主人の元へと向かいました。
心細くて心細くて、涙があふれました。
私の母も、そんな私をみて、涙を流していました。
別れの時間は短いですね、新幹線はあっという間に出発しました。
主人は、ロボットのようにして、駅で私達を待っていました。
そして、それからも、私にも、赤ちゃんにもロボットのように接するようになりました。
物を抱くようにして、子供を抱きました。
これが、この子の父親なんだと…。
私が、守らなくては…
寒い冬。
積もる雪。
子供と家に籠る毎日。
誰も知らない土地。
冷たい主人。
でも、心はおかしくはなりませんでした。
きっと、子供が守ってくれたのでしょう。
私がしっかりしなくては。
春になり、思いきって公園に出てみました。
そのうち、いわゆる、公園友達が出来ました。
楽しい毎日でした。
主人も次第に子供との生活にも少しずつではありますが、慣れてきました。
やっと私達は家族になれました。
家族、友達。
やっと、手に入れました。
公園友達。
とても良いのです。
でも、とても悪いことがあるのです。
それは、子供の成長を比べること。
私の子供は、遅れがちで私から少しも離れる事ができませんでした。
また、バカな私はそれを気にしていました。
そんな、駄目な母親の元でも、長男は元気に成長していってくれました。
結婚して、やっと訪れた私の幸せでした。
そう、幸せに過ごしていました。
次にやってくる試練も知らずに…