アパルトヘイト廃止で、私が強烈な影響を受けた人を挙げるとすれば、
スティーブ・ビコと、ソウェトので警官の弾圧で犠牲になった少年、ヘクター・ピーターセンでしょうね。
ビコの方は映画『遠い夜明け』の主人公として登場したので見られた人も多いと思います。
1975年11月24日に、南ア・ケープ州の黒人居住区を、警官隊が襲ってバラックをブルドーザーで容赦なく破壊していく冒頭のシーンを鮮烈に思い出します。
このシーンは、今でも目の中に焼きついています。
これが現実にあった話だとは本当に信じたくないシーンです。
映画の中でビコが黒人の学生たちにスピーチしていたのは、「僕たちは黒人だけの国を作りたいのではない。黒人も白人も共に共存できる平等な国を作るのだ」っていう内容のことを常に話していました。
世界中で民族対立や紛争が起きていますが、こんなビコのようなリーダーがいたらもっと早くに平和的に解決できるのでは?と思います。
しかしビコは、アパルトヘイト反対運動の首謀者として逮捕され、警察の拷問で殺されたビコはまだ30歳という若さでした。ビコの葬儀に集まった黒人たちが、右手を突き出して「ココシケレリ・アフリカ(アフリカの歌)」を合唱するシーンには涙が止まりませんでした。
彼を助けようとした白人の新聞記者のドナルド・ウッズも素晴らしい人ですね。
特権階級の白人でありながら、ビコとの間に熱い友情が生まれ、彼が政府から何度も殺されそうになったり、軟禁されながらもすべてを捨てて家族と国外へ逃亡するシーンは、凄まじいものがありました。
また、彼らを助けるほかのアフリカの国々の人が、
「ビコの友人は、僕らの大切な友人だ」と言って助けてくれるシーンも感動的でした。
そうそう、ヘクター少年についても説明しなくっちゃね!。
1976年にソエトで警官隊と黒人グループとの正面衝突が頻発して、500人以上が殺される事態になりました。
ソウェトの学校でも抗議運動がはじまり、日本でいえば中学1年生だった
ヘクターはそのデモに参加していて、警官隊が乱射した銃弾で倒れたわけです。
他にもたくさんの子どもたちが殺されました。しかし、そこに居合わせたサム・ムジマというカメラマンが、血まみれのヘクターを先生が抱きかかえて運び出す写真を撮り、これが世界的に流されてヘクターのこの犠牲になった1枚の写真から国際的な南アフリカ政府に対して抗議が殺到し、国際社会から孤立して行きました。
2001年の25周忌に、彼が殺されたすぐ近くに「ヘクター・ピーターセン・ミュージアム」が建設されました。
そして、私は2002年9月ヨハネスブルグサミットに訪れた際に彼の写真を見てしまったのです。