英二に逢える
けれど、英二には伝わらないかも知れなかった。
彼は眠ったまま
あの事故でどれほどの怪我を負ったのだろう
私を庇ったのだ
英二が護ってくれたから私は怪我も無く、赤ちゃんを産む事ができたんだ
赤ちゃん・・・
急に胸が張ってきた
お乳が溢れる
赤ちゃん、お願いよ、ママの大切なあなたのパパを助けて!!
そう願いながら病室へ向かった
ベッドに眠っている英二がいた
英二は頭を怪我していた
白い包帯で巻かれた頭
髪は綺麗に剃られているようだった
英二!
英二の元に駆け寄った
英二は静かなに眠っていた
身体に付けらたコードが心臓が動いて、呼吸している事を教えてくれていた
英二の白く細い右手をそっと握ってみた
温かい・・・良かった・・温かい・・
英二・・・ありがとう・・生きててくれて
ありがとう・・・
涙が溢れた
英二が生きている事が嬉しくて嬉しくて
その温もりを確かめるように英二の右手を自分の頬に当ててみた
英二は動かない
それでも、英二は生きている
英二・・ありがとう
赤ちゃん、英二の赤ちゃんが産まれたよ。
私も大丈夫。
英二が護ってくれたから赤ちゃんも私も元気だよ
次は英二の番だからね、英二が元気になったら、赤ちゃんと三人で私達の家に帰ろうね。
英二は眠ったままだった
英二の閉じた瞼に私の涙が落ちた
その涙が零れる
まるで、英二が泣いているようで、慌てて涙を拭った。
いつか、大丈夫?
担当の先生からお話しがあるんだけど、聞ける?
遥が鼻をすすりながら掠れた声でそう言った
遥・・大丈夫。先生にお会いするわ。
英二の傍を離れ難いけれど、先生からの話しを早く聞きたい。
そう思っていた。
英二の左手首の包帯も気がかりだった。
大丈夫だよね。
その言葉は自分に言い聞かせていた。
遥、先生から何か聞いてる?
英二の怪我は、英二が眠りから醒めないのはあの頭の怪我が原因なんだよね。
遥の目は真っ赤だった。
先生から直接お話しがあるから。
遥は?
私は先に赤ちゃんの処へ行ってるね。
いつかも先生のお話しが済んだら小児科に来るでしょう。
この病院の産科と小児科が同じ階にあると聞いていた。
まだ赤ちゃんにも逢っていない。
分かった。
赤ちゃんの処へ行ってあげて、一人ぼっちは赤ちゃんも寂しい筈だよね。
遥と別れて一人で心細かった。
震える手を握り締めて、教えて貰った部屋のドアをノックした。
どうぞ
ドアを開けると、見覚えある人が部屋の中にいた
お義父さん!!
ドクターと一緒に英二の父、正が其処にいた。