92歳と7カ月。
大好きな祖父がお空に旅立ってしまいました。
 
寂しいけど、悲しいけど、祖父にお別れをする時、
「ありがとう、お疲れ様でした」
そう伝えてきました。
今はその言葉しか浮かびません。
 
9月初旬
祖父が危篤と母から連絡が入った時、
頭の中が真っ白になって、母の言葉がすぐに理解できませんでした。
でも、帰省して数年ぶりに目にした祖父は、痛々しいほど痩せ細りそして苦しみの真っ只中にいて、
ようやく私も現実を受け入れることが出来ました。
このとき、医師から余命数日と宣告されました。
 
延命措置はしない。
それは母たち兄弟で何度も何度も話し合って決めたことでした。
母からそれを聞かされた時、私も同意しました。
祖父は認知症を患っていたため、民間のグループホームでお世話になっていましたが、
そのグループホームの方も、出来ることなら最後まで居ていただきたいとおっしゃってくださいました。
そんなこともあり、病院へ搬送することなく、今出来る処置のみを行って貰いました。
 
ところが。
祖父は自分でこの危機を乗り切ってくれたのでした。
誰もが祖父の生命力の強さに驚いた出来事でした。
それは余命数日を宣告した医師本人もです。
 
それから、半年と半月。
穏やかにそして静かに眠るように祖父は逝ったそうです。
母たちは祖父の最期に間に合わなかったとのことでしたが、
グループホーム職員の方に看取っていただきました。
そしてたくさんたくさん、祖父のために泣いてくださったとのことでした。
 
9月に私が見た祖父の顔は、
苦しみのあまり、眉間に深いシワが出来ていました。
危篤を脱した後に訪れた時も、その深いシワは残っていて、
眠る祖父の顔に手を当てては「シワがなくなりますように」って母と眉間を撫でていました。
最期の祖父の顔には、そのシワが見られませんでした。
もちろん、全くというわけではありませんが、本当に穏やかな顔でした。
そして、大雨の中はじまった湯灌の日、祖父の棺が葬儀場へ運ばれる時には
それまでの雨が嘘のように晴れ渡り、キレイな夕焼けさえ見られるほどでした。
翌日の葬儀・告別式も、その時間だけ風も少なく、穏やかな天候で。
祖父は晴れ男だったのかもしれないね・・・なんて親族一同で話したのを覚えています。
穏やかで、礼儀正しくて、孫の私からしたら、お茶目で可愛いおじいちゃんでした。
大好きな、大好きなおじいちゃんでした。
 
私が祖父と最後に会ったのはお正月でした。
東京に戻る日、帰る前にグループホームに立ち寄った際、祖父はほぼ眠っていました。
起きていると、私や母の声に返事をしてくれることがあったので(言葉にはなっていませんでしたが)
今日はそれが聞けないなぁ~なんて思っていたのですが、
お昼ご飯の時間になり、職員の方に車イスに乗せてもらって食堂へ移動したとき
グループホーム長の方が
「○○さん(祖父の名前)、△△ちゃん(私の名前)が来てくれて嬉しいね」
そう問いかけると
「はい」
ってすごくはっきりと祖父が答えたのです。
もちろん、私のことなんてもうわかりません。
この返事も条件反射の返事だってわかっています。
それでも私には本当に嬉しい出来事でした。
だからこそ、もっともっと長生きしてくれるものだと・・・。
 
これは、9月の連休に帰った時、私が撮影した祖父の手です。
イメージ 1
私が覚えている祖父の手は、
いつもむくんでいて、痛い痛いとよく言っていました。
その手もやせ細り、小さな小さな手になってしまったけど、
私の指を握りしめる強さは、92歳の力とは思えないほどでした。
 
85歳ぐらいまで独り暮らしをしていた祖父。
16年前に祖母が他界し、独りで寂しかったと思います。
それでも、毎日、祖母の仏壇にご飯を供え、祖母が好きだったお菓子やお花を
いつも大量に買ってきては「ばーさんが好きだったから」と沢山飾っていた愛妻家の祖父。
私が学生のころ、友達と市街地で遊んだ後、祖父母の家に歩いて行くと連絡すると
心配だからと駅まで迎えに来てくれた祖父。
近くのチェーン店のお寿司屋さんに行っては、お寿司を買って待っていてくれた祖父。
 
今夜、実家から東京に戻り、一人の部屋に入った途端
どうしようもない寂しさと悲しみがこみ上げています。
いまだに一度も泣いていない母の方が辛いだろうし、悲しいのに
そんな母を私が支えないといけないのに、
葬儀後、めまいを起こしてしまったのは私でした。
母に余計な心配をかけて、私はまだまだダメだなって実感しました。
たぶん、祖父も心配で、気がかりで嘆いているんじゃないかな・・・。
本当に情けない限りです。
 
でも、これまで頑張ってくれた祖父には本当に感謝の気持ちでいっぱいです。
おじいちゃん、ありがとう。
おじいちゃんの孫で私は本当に幸せでした。
おじいちゃんも、幸せだったのかな・・・。幸せだったら嬉しいな。