結局おじぃおばぁは、本家夫妻に連れられて
病院へ行った。
私は自分一人で抱えることは、しない。
モーさんと歩くと決めてから変わった部分だ。
全部モーさんに話す。
義父母とのいざこざを夫に話すことは
賛否両論あると思うけれど、私は話す。
どうにかしてよ!じゃない。
ただの愚痴だから聞いてと前置きする時も
相談なんだけど、と言う時もあるけれど
必ず話すようにしている。
モーさんの何でも把握したい性格というのも
関わっているけれど。
当然、モーさんは呆れた。
「どうして家族で決めたことに親戚を巻き込む?
ママが断ったならまだしも
嫌な顔どころか喜んでくれたのに……」
そうだ!そうだ!
話すことで、モーさんは正しく現状を理解する。
だから大袈裟には伝えない。
あとで齟齬が出るのもダメだからね。
親の老いは、子にとって辛いものだ。
共に老いていく配偶者よりも辛い部分もある。
やがて、遺されるのだから。
特に不在がちな息子の立場では老いは理解し難く
受けいれがたいんじゃないかな、とも思う。
モーさんにしても、私がいくら認知症の兆しを
伝えてみても、元の性格が認知症みたいだし……
と受けいれられなかった。
だから、淡々と伝える。
モーさんの場合は、淡々と冷静に告げることで
自分の中でゆっくり消化する。
それで、いい。
いつか、明日か来年か分からないけれど
確実にやってくるその日に向けて
心積りをしていく事を大切にしている。
もしも倒れた場合や入院したときのこと
保険証の在りか、連絡のとりかたなど
ある程度を決めている。
夜勤になると連絡もとれなくなるから
私の役目も重大だ。
閑話休題。
「俺、おかんとお父ちゃんと話してくる」
私から言えば角がたつ、俺がいうほうが
言いたいこと言えるし、だった。
ありがとうといいつつ怒鳴ったダメよ、と
太い釘をぶっ刺す。
しかし、三分後にはおばぁとモーさんの
言い争いが響いてきた。
おばぁの人をイラつかせるスキルは高い。
「なんでや!別にええやないか!
誰に頼もうとわたしらの勝手や!」
「だから事前に、俺が嫁に頼んでたよな?
あんたらも承知してた。
家族でやれることに親戚を巻き込むの
おかしいやんけ!
まずは家族やないんけ!?
あっちは農家で忙しいの知ってるやろ」
「足が悪い人を、狭い軽に突っ込む気か!」
「それも分かって承知してたんやろ!
大体軽が嫌なら、嫁の車をなんで売れって
言うたんや!あれ普通車やったで!」
「うるさい!うるさい!
親に口答えするな!わたしは親やぞ!!」
でたー。
親や、きたー。
口答えするな、きたー。
これが出たら、もうダメなのだ。
モーさんも分かっているので、溜め息を吐き
早々に切り上げた。
また、おばぁの号泣が母屋に響く。
おなじみ、中韓国の泣き女だ。
本家に電話して謝罪、今後は嫁が送迎すると
伝えてくれた。
私も代わって、自分の信頼のなさを詫びた。
モーさんは、やっばり気になったらしく、
おじぃを捕まえて聞いた。
「軽自動車だと、足がしんどいんか?」
「えーー?別にー、しんどないでー?」
……く!そ!ば!ば!あ!!
おばぁは、さらっと嘘をつく。
殆どがすぐにバレる嘘だ。
これによって、おじぃの足の所為ではないと
判明したのだけれど、本音はなんだ。
私の運転が信用ならない、の他に
なにがあるだろう。