おばぁの家出の続きであります。
おじぃの生態なしには語れないもので
挟ませてもらいました。

さて。
家出したおばぁを連れて、本家へ。
弟が出てきたが、滑舌が悪すぎる人なので
何を言ってるかまるで分からない。
私を責めていたようだけれど、謎。

おばぁは大声で喚き泣きながら実家に入り
仏壇の前に崩れ落ちた。
本家嫁が居ないなぁと思っていたら着信があり
今からおじぃを連れて来ると言う。

こんな時に悠長に麻雀ゲームして信じられん!
まぁ、そうです。おっしゃる通り。
連れて来るというより、ほぼ拉致。
同じく本家嫁は、モーさんを叱り飛ばして
向かわせているという。わー、こわい。


午後9時。
明日は5時に新婚旅行出発……。


本家のだだっ広い和室に、親戚が集まりだす、
といってもおばぁ血縁のみなので少数。
例のみーちゃん(おばぁ姉)と旦那、おばぁ弟、
本家が嫌で嫌で堪らない、真っ青なおじぃ、
モーさん、チーコロ、私、本家嫁。

おばぁ弟は滑舌悪くモーさんを罵ったようだが
やはり、何を言ってるかわからない。

おまわにゃわにゃあにおんどるぁもにやんけわ!

って、感じ。あくまでイメージ。
ものすごく怖い顔が歪んで、更に怖いったら。

みーちゃんは相変わらず適当なことをべらべら
しゃべりながら、おばぁが泣く隣の仏壇へ行く。
みーちゃん旦那は年齢-15歳位のイケおっさん。
おばぁ弟は、脂テカテカで落ち着きがない。
隣のモーさんはむすっとして、口を結んでいる。
チーコロは本家ふーちゃんワンコと遊んでいた。
おじぃは、どんどん顔色が白くなる。

誰が口火を切るのだろうと静観。

お茶を配り終えた本家嫁が座った。
じっとモーさんを見つめて、ため息を吐いた。
やはり、あなたか。

「モーくん。経緯を説明してくれる?
    私ら、何が何だかわからへん」

モーさんは、はい、と返事して一同を見回す。

「まず、こんな夜に騒ぎを起こしてすみません。
    原因は僕とあの人の喧嘩です。些細な事です」

隣の仏間から、おいおいと泣き声が響いている。
中国韓国の葬儀の泣き女を思い出してしまう。
とても不謹慎な私。しかし、似ていた。

「今年の初めに、 真実 を知りました……。
    前々から突っ掛かってこられていたけど、
    喧嘩を買ってしまって、大喧嘩になって
    ……その時に、僕はあの人に貶められました」

ざっ、と親戚一同の顔色が変わった。

「それは……あかんな、」

静まりかえった中、沈痛な面持ちで本家嫁が
あかんな、と何度も繰り返す。

「正直、なんでこんなに喧嘩を売られるのか
    僕には分かりません。ほぼ毎日です」

ちらっとおじぃを見たら、今にも倒れる顔色で
大丈夫かと思ったけど耳を見たら補聴器がなく
おじぃ聴力では、この会話は聞こえないので
ただ本家にいるのが嫌で顔色が悪いだけだった。
どうしようもねぇ。

本家嫁が、はきはきと喋りだした。

「モーくん、私は色々と聞いてたよ。
    あなたの素行が悪いってね、泣いてた。
    片付けているのに、何もしないと怒ったり
    態度が悪いと責められたり、怒鳴られたり。
    母親に対するものじゃないってね。
    勝手に必要なものも捨てられたって」

素行!
片付けているのに!
おばぁから喧嘩を売るのに!
必要なもの!
あれか!モーさんのおまるか!

私とモーさんは驚いて顔を見合わせた。

「いやいや……」

思わず苦笑したモーさんの表情が、滑舌悪爺の
逆鱗にふれたようで、人外の言語の怒号が飛び
本家嫁が慌てて通訳する。

「今までは、うまくやってたやろ?
    結婚後にモーくんが変わった、言うてるの」


…………ああ、なるほど。
そういうことか。

合点がいく。

モーさんが、ぽっと出の私に言い含められて
素行が悪くなったり、家を勝手に変えたり、
つまり親戚一同の意見は、私がモーさんを
操っていると思っているのか。

ああ、そういうことね。

あーーー、うんうん、


何も知らないのに、よく言うわ!
くそったれ共!