
▓私が坂口と共に発表した書籍『赤影参上!』(扶桑社)がある。

初版は1999年。
今から20年以上前の事だ。
不思議な事は、この本の発表前に、私と坂口は意気投合して、二人三脚で、赤影の映画企画を立ち上げる。
今でも時々、当時の夢を見る。
坂口は仮面が無くても、変わらず赤影である。
きっと私の数多くプロデュースした坂口の赤影に魅せられた人も同じ気持ちだと思うのだ。
ある時テレビ関係の上席の方を、坂口に紹介して貰い、『新赤影』映画企画の相談をしたことがある。

『瀬崎さん、坂口君は、ある時から『赤影』そのものになってしまった。』
そう言われたのだ。
つまり俳優と言う領域を越えて、勧善懲悪の正義の人になってしまったと言う訳である。
赤影後、その強烈なイメージを変える為、坂口は、名前さえ変え、イメージチェンジをはかる。

しかし、赤影は、何処までも追いかけて来ると吐露された事もある。
本来、俳優のそのほとんどの人が、顔も名前も覚えて貰えずに消えていく儚い存在では無いかと思う。
彼は上席の人が言った『赤影になってしまった』と言う様に自身が創った正義の使者になった様に思えた。
しかし、である。
放送から半世紀を越えて、今尚知名度の高い赤影の坂口に人はどう思うだろうか?
きっと、今も変わらず彼の赤影を心から愛している人達を知れば、笑顔で自慢話をするかも知れない。
私に良く言った彼の言葉である。
『初めて、ヒーローにさん付けで呼ばれたのは、赤影さんなんだよ…と。』
