私は3歳から22歳まで、途中ブランク数年挟みながらも

ずっとピアノを続けてきた。

それは寝る前に歯を磨くのと同じくらい日常に溶け込んでいて、

日本から出たあと数年はピアノがなくてとても苦しんだ。

そんな時に旦那の親戚がそんな私の気持ちを汲み取って

30歳の誕生日にプレゼントしてくれた。

 

だから、できれば近い友達に預かってもらう、もしくは譲る。

”預かってもらう”というのも、言葉だけでピアノを手放す勇気がないからというだけのものだったけど、

それはただの私のエゴだったかなと思った。

 

でも、知らない人に譲るのはできない真顔と思っていた。

 

なぜ日本に送らなかったのかっていうと、
日本には実家に3歳から使っていたピアノがまだあるから。
それと私の第二の故郷用にも、そこにピアノがあってほしかったから。

 

そんなこんなで、長男のお友達のお兄さんがピアノを欲しがってるということで

家に見に来てもらった。

ピアノは独学だというのに、触って最初に弾いた曲は、私が学生時代最後の試験で弾いた課題曲。

運命を感じて、”この子にもらってもらおうキラキラ”と思った。

 

ところが、旦那の親友の音楽一家の人が欲しいと言ってきて

最後はその人に譲ってしまった。

 

私が18年費やした時間が、物と共に少しずつ消えてなくなるような感覚だった。