――少年少女、前を向け。
≪チルドレンレコード Ⅴ【自己解釈】≫
「……ねえ、キド?」
「なんだカノ。まだ俺は怒っていることを忘れているな?」
「キドはどうなの?」
「……どう、とは?」
「ほら、だからこのチームのことだよ。価値観が全員すれ違ってる人間だったわけじゃん。けれど、やることは、目的はたった一つだったわけで、このギスギスした感じもなく……言いたいこと、なんとなく解る?」
「悪くはないな」
カノの質問にキドは即答する。
「よ、よっしゃ! だからメカクシ団を正式名称に」
「それは断る」
「えぇー……」
キドはカノの提案を却下(さらにジャーマンスープレックスのおまけ付き)した。
「き、キドが成長して俺は嬉しいよ……」
「カノ、お前本気でうざいぞ?」
「そう真顔で言われるとちょっと崩れ落ちるかな……ハハ」
カノはそう言って笑顔のまま、気絶した。
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モモは考えていた。
自分が変われたのは、ここに来てからだ。
チープな言葉だとしたって、手をとりあえば、それは『アイコトバ』に過ぎない。そう、言い合えるってことを。
自分自身が――少しだけ前を向けることに。
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暑い中を走っていくうちに少年少女たちは思い出して、口に出す。
「……キドさん」
「なんだ、モモ」
「わたしたち……出会えたの偶然ですよね?」
「ああ、そうだな。カノがテキトーに連れてこなければ、お前はまだアイドルとして苦しんでいただろうな」
「私、ここにきてから、こんな突飛な世界のことを、『散々だ』って笑い飛ばせるようになったんです。ほんとうに、ここにこれて幸せでした!」
「……、」
モモの言葉に、キドは何も答えない。
「……あの、キドさん?」
「モモ、お前の言いたいことは解った。……感謝の気持ちを伝えたいこともな。だが、それはもう少し取っておけ。俺はきっとそれに答える」
そしてその言葉を最期に――合図が終わる。
**
かたや、メカクシ団を結成し、全てから抗おうと決した少女。
かたや、アイドルだった自分に散々だと思い、全てから逃げ出そうとした少女。
かたや、母の愛を受け、そして外の素晴らしさを教えてくれた少年に恋した少女。
かたや、八月の永遠のループから二人揃って脱出を決意する少年少女。
最善策はその、目を見開いた先にある。
感情性で創られたメビウスの先へ行き、自分たちの人生を狂わせた“やつら”に目に物見せてやるのだ。
です。
