Lesson6 和訳


Mysteries of the Mona Lisa ─モナリザの謎─

P83右下

私たちが知識を多く得るにつれて、物事は解明されるのではなく、より謎になる。


P86
私たちは彼女の顔を至る所で見かける。美術書の中だけでなく、はがきやTシャツ、広告の中にも。誰もがこの顔を知っている。私たちは彼女をモナリザと呼ぶ。

モナリザくらいありふれた絵となると、私たちは気にかけなくなる傾向がある。しかし彼女は一体誰なのか?なぜ彼女はこうも有名なのか?何かモナリザを取り巻く謎があるのだろうか?

---section1-Who is this lady?---

500年前、レオナルド・ダ・ヴィンチは一人の若い女性の肖像画を描いた。
彼は彼女の身元をただ“フィレンツェのある貴婦人”とだけ記した。
彼女を、裕福な商人フランチェスコ・デル・ジョコンドの妻のリザだと特定した人もいる。

この絵の名声が高まるにつれ、人々は他の身元を推測し始めた。
もっとも奇妙な仮説の一つが、1995年にベル研究所のコンピュータ専門家から出された。
彼らはモナリザと、レオナルドが描いた通例自画像とされている老人の絵とを比較した。
彼らは注目すべき類似点を発見した。
コンピュータプログラムを使い、彼らはモナリザをこの老人へと変形させ、実はモナリザは自画像なのだと提唱した。
けれどもこの老人が本当にレオナルドなのかどうか定かではない。
証拠はこの絵が1500年より以前に描かれたことを示唆するが、その時レオナルドはまだ40代だった。
それゆえ、たとえこの二枚の肖像画が同一人物だとしても、その人物が誰なのか確信を持てる人はいない。
この問題は思ったより答えを出すのが難しそうだ。


---section2-Symbol of eternal femininity?---

被写体が誰なのかということよりさらに興味深いのは、ルネサンス期に数多く描かれた肖像画の中でなぜこの一枚の肖像画がこうも有名になったのかという問題である。
フランス国王に売られたあと、300年近くのあいだベルサイユ宮殿にて公の場から隠されたままだった。
フランス革命後、後にルーブル美術館となる場所に移された。
人々は、以前は貴族だけが見ていた芸術品を見るようになった。
その後まもなくして写真が生まれ、モナリザを世界へと連れ出した。

1867年、英国人作家ウォルター・ピーターはモナリザを永遠の女性として描き、人々はあの笑みの裏にはどんな意味があるのか不思議に思い始めた。
ダヴィンチ・コードの作者もそうだったが、その中で彼は絵の中に秘密のシンボルが隠されていると主張する。

なぜ人々はこの絵の中に謎の意味を探すのだろうか?それがモナリザの本当の秘密の一つだ。

---section3-Why does the Mona Lisa seem mysterious?---

ウォルター・ピーターがシンボルを探し始めるはるか以前、見物人はモナリザには何か奇妙なものがあると感じていた。
彼女は生きているように見えるのだ。
写真をみてもこの感覚は得られない。
しかし実際の絵を見る人々は、それ以前の肖像画と違ってモナリザは生きているように見えるという不思議な感覚をしばしば抱いてその場を後にする。

15世紀の肖像画家は人間の顔と体つきを完璧に描くことができた。
けれども、彼らの肖像画はしばしば現実の人間というよりは彫像のように見えた。
その理由は背景から人物を分かつ輪郭があることだった。
モナリザを見た人は誰でもレオナルドが何か違うことをしたと知った。

レオナルドの時代の画家は、レオナルドがどのようにして絵をまるで生き写しに描いたかという謎に対する答えを見つけようとこの絵を模写した。
レオナルドはどんな異なることをしたのか?

---section4-An answer to the mystery---

レオナルドは、背景から人物を分かつはっきりとした輪郭はないということを知っていた。
彼は“soft”や“shaded”を意味するスフマートという絵の表現法を生み出し、被写体の顔と背景を混合させた。

彼はまた、私たちが人の表情を読み取ろうとするときは目の端と口の端に注意を払うことに気付いた。
モナリザの目と口の端は次第に影になっている。ある時はモナリザは笑っているように見え、またある時はその顔は厳粛である。

モナリザの片側の地平線はもう片方の地平線より高くなっている。
目を右から左、あるいは左から右に動かすと、女性の姿はやや背筋を伸ばして座っているか、あるいは若干前に屈んでいるように見える。

モナリザの顔は完全に左右対称というわけではない。
口の左端は微笑んで持ち上がっているが、右側ははっきりとは笑っていない。
彼女の表情は目を左から右に移すと彼女の表情は変化する。

こうした技法の結果、モナリザは彼女が生きているかのような印象を与える。
彼女を見て、顔を背け、それから再び見ると、あなたは彼女が若干動いたか、あるいは表情を変えたように思う。

モナリザの謎は秘密のシンボルではない。
おそらくその謎は、見物人を不安にさせ秘密のシンボル探しを引き起こす表現法にある。




Lesson5 和訳

われわれの環境を形作る決定によって、われわれは自分自身を形作るものである。

ルネ=デュボス


人間がほかの惑星で暮らすことは可能であろうか?

われわれは火星に植民地を造ろうとするべきであろうか?

アキラはこれらの問いに答えようとレポートを書いた。


--section1--
火星、すなわちかの赤き惑星は最も早い時代[=はるか太古の時代]から人間を魅了してきた。

古代人はそれ[=火星]と戦争の神とを同一視した。

近年、火星は広範囲に亙(わた)る科学的研究の主題となっている。

近未来において[=近い将来]、人間は火星の上を歩いているであろう。

---
火星はどのような種類の惑星であろうか?

それは太陽から4番目の惑星であり、しかも地球に最も近い惑星であるが、しかし、火星は地球よりもずっと小さい。

火星の1日は24時間37分で、(火星の)1年は(地球の1日の)687日分続く。

火星の表面は赤い砂塵(さじん)で覆われており、空はピンク色である。

オリンポス山のように高い山があり、それ[=オリンポス山]は高さ24kmである。

火星には凍った2酸化炭素や、ことによると氷から形成されている白い極冠がある。

もしも火星に水があるのならば、なんらかの形態の生命もまた存在する可能性もあるが、しかし、それはまだ発見されていない。

---
宇宙での綿密な調査による報告から、火星について多くのことをわれわれは知っている。

ところで、2018年5月に人間を火星に送る計画がある。

かの赤き惑星[=火星]に最終的に到着するとき、宇宙飛行士たちは180日間、宇宙空間にいることになる。
or宇宙飛行士たちは、180日間、宇宙空間にいると、かの赤き惑星[=火星]にようやく到着する。

彼ら[=宇宙飛行士たち]は571日間(火星に)滞在する予定である。


--section2--
火星への旅行はどのようなものになるのであろうか?

宇宙飛行士たちは火星への旅行の途中に多くの困難な問題に直面するにちがいないであろう。

重力のない環境では、人間の身体と骨は弱くなる。

だから、宇宙飛行士たちは器具を使いながら運動しなければならない。

ほかの問題もまた存在するであろう。

宇宙船のような閉ざされた環境下にいると、充分に睡眠を摂り、元気いっぱいでいることが難しいと宇宙飛行士たちは気がつく。
→宇宙船のような閉ざされた環境下にいると、宇宙飛行士たちには充分に睡眠を摂り、元気いっぱいでいることが難しい。
*to find it difficult to do ...: ……することは難しいと気づく;……することは難しいとわかる▼直訳は左のとおりだが、「……するのは難しい;……するのは困難である」と、findの意味を全面に出すことなく訳すことも多い。

自分の家族と話をすることは、ストレスを処理する点で大いに役に立つと、ある宇宙飛行士は述べている。

---
火星は環境が地球のもの[=環境]に最も近い惑星であると知られているけれども、宇宙飛行士たちは火星に着陸すると自分たちがたいへん危険な状態にあるということに気づくであろう。

大気は95%が2酸化炭素である。

赤道の気温は最高15℃から最低で零下100℃となる。

大気の圧力[=気圧]は、火星では、地球よりもずっと低い。

それ[=気圧]は(地球上の)地上35kmのところに似ている。

そのうえ、太陽からの放射線の危険もあるであろう。

宇宙飛行士たちはそのような過酷な状況から自分たち自身を守るために重量のある宇宙服を身につけなければならないであろう。


--section3--
火星を地球のような惑星に変えるプロジェクトは始まったばかりである。

このプロジェクトは「テラフォーミング」と呼ばれている。
terraforming: テラフォーミング▼ほかに「惑星地球化計画」とも呼ばれる。terra-は「大地」、formingは「形作ること」で、原義は「大地創造」。

もしもそれ[=プロジェクト]がうまく機能すれば、人類は火星で暮らすことができるであろう。

---
火星の南極には2酸化炭素でできたドライアイスからなる広大な地域がある。

一部の科学者は、「温室」効果を生み出すことによって20℃まで気温を上げることが可能であると考える。
→科学者のなかには、「温室」効果を生み出すことによって20℃まで気温を上げることが可能であると考える者もいる。
orなかには、「温室」効果を生み出すことによって20℃まで気温を上げることが可能であると考える科学者もいる。

彼ら[=こうした科学者たち]は、火星で見つけられる材料から作られるPFC(perfluorocarbon)を使うであろう。
→こうした科学者たちは、火星で見つかる材料で作るPFCを使うであろう。

気温が上昇するにつれて、ドライアイスが融け、2酸化炭素が大気中へと出て行くのであるが、そこ[=大気中]では、それ[=2酸化炭素]は「温室」効果ガスとして機能し、なおいっそう大気を暖めるであろう。

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科学者たちは、火星にはかつて巨大な海があり、水は今でも凍った地中にあると考えている。

数百年以上かけて、気温が上昇するにしたがって、地中の氷は融け、水がその惑星[=火星]の表面を覆うであろう。

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この水は蒸発して雲を形成し、雲は雨を生み出すであろう。

雨は空気中の赤い砂塵(さじん)を洗い流し、空の色はピンク色から青色に変わるであろう。

プランクトンを放流し、森林を創り出すことによって、人間を含めた生物が必要とする酸素を生み出すことがわれわれに可能になるであろう。


--section4--
われわれはスペースコロニー[=宇宙の植民地]を建設しようと努力すべきなのであろうか?

---
著名な科学者スティーブン=ホーキングは、地球規模の温暖化のせいで(西暦)3000年という年までに人類は滅亡するであろうと考えている。

唯一の打開策は、地球から去ることであると彼[=スティーブン=ホーキング]は考えている。

---
ロバート=ズブリンという、人間が生活できる環境へと火星を変えるプロジェクトのリーダーはつぎのように述べている。

「人類はアフリカで生まれました。

今では、われわれは(地球上の)世界中で暮らしています。

いつかある日、われわれは惑星間を旅行して、生命の種を撒き散らすであろうと私は考えています

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しかしながら、スペースコロニー[=宇宙の植民地]を造ろうと努力することの前に地球上の問題点を解決しようと取り組むことによって地球を救うためにわれわれができる最善のことをわれわれはすべきであると主張する人々もいる。

実際、われわれは、(たとえば)大気汚染や地球規模の温暖化や人口過剰といった多くの問題に、今や、直面しているところである。

もしもわれわれが地球上で暮らし続けたいと思うのであれば、これらの問題をわれわれは解決する必要がある。

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21世紀に、宇宙への大いなる旅行が始まったばかりである。

われわれが宇宙に植民地を建設するにせよ、しないにせよ、われわれには宇宙から学ばなければならないことがたくさんある。

未知の世界への扉はわれわれの前でちょうど開き始めているところである。



Lesson4 和訳 



創造性とはなんであろうか?

それは習得しうるなにかあるものであろうか?

ケンは(その答えを)見つけ出すことに興味を抱いたので、ジェームズL.アダムズ博士にインタビューをしたが、その博士[=アダムズ博士]は最近、創造性についての本を執筆している。

--section1--
ケン:
アダムズ博士、このインタビューにお時間を割いてくださり、まことにありがとうございました。

博士は創造的になる方法について数多くの本を執筆されています。


「創造的」であることによって、博士は厳密にはどういうことをおっしゃっているのでしょうか?

アダムズ博士:
「創造的」ということばによって私はただ単に、(それに対する)簡単な解決法がひとつもない問題に対する新たな解決法を見つけ出すことができるということを言っています。

創造的であることは、新しい世界の眺め方を見つけることを意味します。


ケン:
どうして、たいへん多くの人が最近では創造的であることに興味があるのだろうかと私は思います。

アダムズ博士:
おそらくは、最も重要な理由のひとつは、これまでに経験したことにない問題に対処しなければならない複雑な時代にわれわれが生きているということでしょう。

ケン:
アダムズ博士、もっと創造的になるように自らを鍛えることは可能でしょうか?

創造性とは、なにか習得できるものでしょうか、それとも、生まれたときから備わっているものでしょうか?

アダムズ博士:
もっと創造的になるように自らを鍛えることができると私は考えています。

創造的であることは、新しい思考法を、つまりそれまでにない方法で問題を眺める能力を必要とします。

そうするために、われわれが自由に考えるのを妨げる「心の障壁」と私が呼ぶものがわれわれにはあるということをみなさんは理解しなければなりません。

あなたにおもしろいパズルを出させてください。そうすれば、「心の障壁」ということばで私が言い表したいことについてよりよい考えが得られるでしょう。


--section2--
ケン:
それはおもしろそうですね。

パズルは好きです。

アダムズ博士:
よろしい。

ここにそのパズルがあります。

問題は、紙から鉛筆を持ち上げることなしに、9つの点すべてを通る(多くても)4本以下の直線を描くことができるかどうかということです。

ケン:
うーん。

ええっと。

4本の直線、それも鉛筆を持ち上げることなしに、と言いましたよね――それは不可能です。

アダムズ博士:
不可能であるように思えるにすぎません。
or不可能であるように思えるだけです。

ちょっとアドバイスをさせてください。

いかなる新たな条件をつけ加えてはいけません。

たいていの人は不必要な条件をつけ加えるのです。

彼ら[=たいていの人]には心の障壁があるのです。

彼ら[=たいていの人]は、正方形の枠の中にとどまらなければならないと考えます。

創造的であることは、枠の外側で考えることを習得することを意味します。
→創造的であるとは、枠の外側で考えることを習得することです。

ケン:
おや、わかったぞ。(解決法その1を参照せよ)

アダムズ博士:
よくやりました。

ケン:
別の解決法があるというのが、ふっと思いついたのです。

こちらの解決法についてはどうですか?(解決法その2を参照せよ)

アダムズ博士:
素晴らしい!

実際、このパズルには複数の解決法が可能なのです。

ここに、たった1本の線で9個の点すべてが線を引かれるようにすることを可能にするものがあります――小さな紙が折り重なった状態で。


--section3--
アダムズ博士:
そして、ここには、パズルをばらばらに切ることと異なるやり方で寄せ集めること、さらには再び1本の線だけを使うことを必要とする解決法があります。
→そしてここにある解決法が必要とするのは、パズルをばらばらに切り、違うやり方で寄せ集め、しかるのちに再び1本の線だけを使うというものです。

ケン:
人々がどのようにしてそのような発想を得ることができるのかということは驚くべきことですね。


アダムズ博士:
別の人はこの解決法を思いつきました。つまり、紙を地球の表面に置くのです。

地球をぐるりと回り、それぞれの円で次の[=隣の]列を通過するように、毎回、少しずつ動かします。


ケン:
まったく創意工夫に富んでいますね。

アダムズ博士:
これが創造性というものです。つまり、不必要な条件を回避することを学び、枠の外側で考えることです。

ここに私の特にお気に入りの解決法があります。

それは小学生の女の子からのものです。

---
親愛なるアダムズ博士

パパとわたしはあなたの本に載っているドット=パズル[=点のパズル]をしていました。

ある人が1本の線を使って解く方法を見つけたとパパが言いました。

わたしもやろうとして、解きました。

折ったりするんじゃなくて、私は1本の太い線を使いました。

太い線を使っては駄目とは書いてありません。

こんなふうにするのです。
---

--section4--
ケン:
インタビューを始めた時点に戻りましょう。

このことすべては創造性について何を述べているのでしょうか?

アダムズ博士:
創造的になるためには、心の障壁を回避し、枠の外側で考えることを習得することが重要なのです。

問題を大まかに述べれば述べるほど、創造的な解決法に対する余地が広がります。

ケン:
私に例を挙げていただけませんか?

アダムズ博士:
あなたがよりよいドアを作るように依頼されたと仮定してください。

どういった種類のドアをあなたは思い浮かべますか?

おそらく、あなたは木でできた長方形のものを思い浮かべるでしょう。

それこそが、あなたの心の枠の中での、ドアとは何であるかというものです。


ドアについて考えるかわりに、壁を通り抜けて歩くためのよりよい方法を見つけることについて考えてください。

このような新しい問題の述べ方があれば[=このように新たに問題を述べることで]、さまざまな解決法を見つけ出すことができます。すなわち、カーテンや伸縮自在の仕切り板や機械式のシャッターや、あるいは、店内の熱やフリーザーの外の熱を保つために用いられるようなエア=カーテンでさえ思いつくことができます。

ケン:
ということは、狭すぎる問題の述べ方は、創造性に制限を加えるとおっしゃっているのですね。


アダムズ博士:
まさにそのとおりです。

よりよい解決法は不必要な条件を取り除くことから生まれます。

問題は、あなたが枠の外側で考えることができるかどうかということなのです。

ケン:
ありがとう、アダムズ博士。

創造性について博士とお話しすることは、たいへん興味深かったのでした。

本当にありがとうございました。