高校生の時にキリンジの曲を初めて聞いて、それから夢中になってしまった。自分の好きなことを語るのは性癖を知られるようなことと同じ…というか、自分が何に感銘を受けたのか、どういう部分に心を揺さぶられるのか、ということを話すのはすごく恥ずかしいし、書いた後に絶対に後悔するんだけど、キリンジを聞き続けてもう20年くらい経つので、ただ好きという気持ちを自分の中だたけにしまっておくのも勿体無いし、キリンジ好きな友達も全然できないし、新曲が出た時にウワーーーッて一緒に話せる友達が欲しいなという理由で今日はキリンジ(KIRINJI)のことを書いてみようと思う。本当は先にやらないといけない仕事があるんだけど、今書きたいと思ったら今書くのがぜっったいに良いと思うので向こう見ずだけど書こうと思う。

 

キリンジ(KIRINJIだが、もうめんどくさいのでキリンジと書きます)の概略については調べてもらえばわかると思うので、そこにはあえて触れない。メロディも好きだし、歌詞が特に好きだ。うちの夫などは日本語でも英語でも歌詞を全然聞かないというので、音楽の聴き方も色々あるんだなぁと思う。

 

色々な歌詞に感銘を受けたけど、まずはキリンジとの出会いを少し書きたいと思う。高校三年生の頃、ボーリング場でバイトしていた。みんなは受験勉強で大変忙しかったと思うが、専門学校に進むことを決めていたので、私は猛烈に暇だった。自動車免許を取ったりなどして暇を潰していた高校三年生の三学期だった。人気のないボーリング場で働いた。客が全然来なくてただただ時間を浪費するという苦しい時間だった。音楽好きのお兄さんが一緒にシフトに入っていたので、この間買ったばっかりの北青山的13曲1000円というアルバムをボーリング場で大音量でかけさせてもらった。全然客がいないので好きな曲を聴いてよかったのである。その頃、Hermann H.&The Pacemakersというバンドにはまっていたので、他のアルバムに未収録の音楽がそのアルバムに入っていると知り、インターネットで購入した。Hermann H.&The Pacemakersの音楽を聴いてとても楽しかったけど、そのアルバムに一緒に収録されていたのがキリンジのエイリアンズだった。イントロから暗い。そしてメロに入る前に半音上がった。ギュンッっっ!ってなった。こんなに暗い曲をわざわざオムニバスアルバムに収録するとは一体…?

 

聴き進めると、公団に引っ越してきた若い夫婦の話のようだった。全然知らない土地で嫁はおそらく泣いてるんだが、自分たちは異世界からやってきたんだから泣かないで、というような歌詞だった。

 

キリンジのアルバムをたくさんたくさん買った。発売されているものは全部買った。次に好きになったのは、風を撃てという曲。あんなに暗い曲を作っていたのに、それはそれは爽快な、風が吹き抜けるような爽やかな曲だった。そしてその中にも技巧を凝らした聴いたことのないメロディがたくさん入っていて、本当にびっくりした。天才だと思った。次に好きになったのは冬のオルカ。冬になるといつも聴いている。夏でも聴くけど。キリンジの曲のすごいところはメロディと歌詞の合わさった時の気持ちよさ。「都市へ嘶くダウンビート 跳ねる」聴いたこともない言葉。

 

一曲だけ好きだけどあとはイマイチだったなぁっていうことはよくあるんだけど、キリンジに関しては聞けば聞くほどどんどん好きな曲が出てきて最高!!!と思った。

今まで紹介したのは弟のヤスの歌詞ばかりだけど、やはり兄貴の高樹氏の歌詞がのちにだんだん好きになってくる。

 

とりあえず最近のものだと(といっても結構前)

 

アルバム11「ジャメヴ デジャヴ」

 

更地の上にパイプ椅子

のぼりはためく分譲地

白目の黄色い客が来た

垢じみた喉元 震わせて

 

哀れな爺さん 亡者は荒れる

 

ジャメヴ デジャヴ

誰だ お前何してる

オレの土地だぞ、ここいら

火の海、焼け野原

もっともっとさかのぼれば海

 

 

歌詞って書いたらダメなんだったっけ。これだけ読んでもらってもわかる通り、キリンジは自分のことを歌わない。哀れな爺さんのことを歌う。びっくりする。しかも哀れな爺さん〜♫のところがこの世で一番綺麗なメロディ。これはもう、痴呆か何かで何がなんだかわからなくなっている爺さんが分譲地で売り出されてる元・自分の土地のセールスマンに文句を言いに来ているという話だと思う。

 

その後もすごい展開が広がる。今度はもう入院しちゃった後の爺さんの話になるのだけど、爺さんの世話をしてくれる看護婦を「孫娘ほどの看護婦は おぼこの様な 慣れたような」と表現する。若い看護婦。おぼこのような、慣れたような。これすごくない???看護婦さんって慣れてるんだか慣れてないんだかよくわかんないときある。あるある。しかも自分は元・えらい爺さんなわけだから、いろんな思いが詰まっているよね。ちくしょう。という気持ちとか。しかし看護婦のことが憎いわけではない。むしろ孫娘のような看護婦といっている。孫娘ほどの年齢の人に世話を焼かれるのは嫌だろう。でもそうせざるを得ないほど、衰弱しているのだ。それで空を仰ぐ。

 

ジュメヴデジャヴについてはこの辺にしておこう。

 

 

他にもすごい好きな曲がいっぱいあるんだけど…

 

冠水橋という曲があって、これの歌詞はあまりにも良すぎで全文載せたいけど、本当に歌詞を書いてもいいのか自信がないのでやめとこう。キリンジ 冠水橋 と調べてもらうと歌詞が出てくると思います。

 

冠水橋ってなんやねんと思って、気になったら調べちゃうんだけど、大雨で川が増水すると水没し、通行不能になってしまう橋のことらしい。埼玉にしかないらしい。一度見にいってみたい。かっこいい。想像するだけで。

これの歌詞はもう、大雨で水に沈んだ橋をみて何かを思ったっていうことだと思う。

 

水面を走って渡れそう

水面を走って渡れるのさ

feel so good

透きとおる 憂鬱

 

 

透きとおる憂鬱…鬱屈とした地方都市の橋の姿がありありと浮かぶ。これは珍しく、他者のことではなくて高樹本人の気持ちを歌った歌詞な気がする。

ただ鬱屈としているだけではなくその後もっと壮大なことを考え始める。

 

空が落ちた!

風向きが今、変わった

風向きが今、変わったのさ

夕日が迫って潰れそう

空が落ちた!

夕日が迫って潰されそう

 

 

若かりし日の苦しさだろうか。若いとき、なんか苦しかったなぁってことを思い出すような歌詞。それもただ憂鬱なんて書いてみたけど、そうじゃなくて、夕日に潰されそうな感じって、私は高樹様ほどの完成は持ち合わせてないけど染み入ってくる…

 

 

他にも色々書きたいことはあるけど長くなったのでこの辺にしておこうと思う。もしキリンジが好きな人いたら友達になってください!!!