BASE.jpは2022年に開設ショップ数200万件を突破しました。STORES.jpと合わせると、日本国内だけで数百万規模のネットショップオーナーが存在する計算になります。この土壌で、雑貨・食品・アパレルなどジャンル別に3〜5店舗を分けて運営する個人事業主は珍しくなくなりました。
ただ、問題があります。同じパソコンで両方のショップにログインした瞬間、プラットフォーム側は「同一運営者」だと判定できてしまいます。結果次第では、片方どころか全ショップが凍結対象になります。
本ガイドでは、BASE.jpとSTORES.jpで複数ショップを分離運営するための具体的な設定を、2026年時点の最新状況にあわせて整理しました。
目次
- なぜ「同じ端末で別ショップ」がバレるのか
- 複数ショップ運営で分離すべき3つのレイヤー
- ブラウザ層の分離 — BitBrowserでの実際の設定
- スマホアプリからの操作が必要になるケース
- iOSアプリ限定機能が必要な場合
- ショップごとに必ず分けるべき5つの情報
- 日本国内で使えるプロキシの選び方
- 実際にありがちな失敗パターン
- よくある質問(FAQ)
- 次に取るべきステップ
なぜ「同じ端末で別ショップ」がバレるのか
アカウント連携の判定は、単純なIPアドレス照合だけではありません。ブラウザが送信している「デバイス指紋(フィンガープリント)」を組み合わせて、同一人物かを推定しています。
主な照合ポイントは次のとおりです。
- IPアドレス(自宅・オフィスの固定IPは即バレる)
- Cookie / LocalStorage / IndexedDB
- Canvas指紋、WebGL指紋、AudioContext指紋
- フォントリスト、画面解像度、タイムゾーン
- User-Agent、言語設定、プラグイン構成
- WebRTCによるローカルIP漏洩
Chromeのシークレットモードで開き直しても、IP・Canvas・WebGL・フォントリストは変わりません。実質的に隠せていない、というのが2026年時点の現実です。
複数ショップ運営で分離すべき3つのレイヤー
安全に複数店舗を回すには、次の3層を店舗ごとに独立させる必要があります。
- ネットワーク層:店舗ごとに別のIP(プロキシ)を割り当てる
- ブラウザ層:店舗ごとに独立したブラウザプロファイルを持ち、指紋を分離する
- デバイス層:スマホアプリからの操作が必要なら、店舗ごとに別の仮想端末を用意する
1と3だけ対策する人が多いのですが、2が抜けていると意味がありません。プロキシで日本IPを変えても、Canvas指紋が全店舗で同じなら1発で連携判定されます。
ブラウザ層の分離 — BitBrowserでの実際の設定
アンチディテクトブラウザは、プロファイル単位でCookie、Canvas、WebGL、フォントリストなどを個別に持てるブラウザです。BitBrowserは無料枠で10プロファイルまで作れるため、副業レベルの複数店舗運営には十分対応できます。
BASE.jpとSTORES.jpの2店舗運用を例にした手順です。
- BitBrowserをダウンロードして起動
- 「新規プロファイル」を作成し、名前を「BASE_shop_A」に設定
- プロキシ設定で日本のresidential IPを入力(後述)
- OS / User-Agent / 言語(ja-JP)/ タイムゾーン(Asia/Tokyo)を選択
- プロファイルを開き、BASE.jpに新規登録またはログイン
- 同じ手順でもう1プロファイル「STORES_shop_B」を作成し、別プロキシでSTORES.jpにログイン
ここまでで、2つのショップは別々のブラウザ環境として動きます。片方のCookieが消えてももう片方は無傷、Canvas指紋も別物になっています。
スマホアプリからの操作が必要になるケース
BASE.jpもSTORES.jpも管理画面はブラウザで完結しますが、実務では次のような場面でスマホアプリが必要になります。
- プッシュ通知で受注をリアルタイム確認したい
- 商品写真をスマホカメラで撮影して即アップロードしたい
- SMS認証(2段階認証)を受信する
- BASE Payやショップ振込に紐づく本人確認
ここで登場するのが、クラウド上でAndroid端末を丸ごと動かせるBitCloudPhoneです。物理的なスマホを店舗数ぶん買う必要がなくなり、各インスタンスがIMEI・IMSI・GPS・端末IDまで別物として動作します。
4店舗運営なら、BitCloudPhoneで4つのAndroid仮想端末を立ち上げ、それぞれにBASEアプリまたはSTORESアプリをインストールする形になります。
iOSアプリ限定機能が必要な場合
BASEもSTORESも公式アプリはiOS版があり、Appleユーザーが多い商材(コスメ・ハイエンドアパレルなど)ではiOSで動作確認したい場面もあります。iOS限定の外部連携(会計freeeやマネーフォワードのiOS特化機能など)を組み合わせる場合、Android仮想端末では対応できません。
BitCloudPhone iOSを使えば、クラウド上でiPhone実機を動かせます。Apple IDも店舗ごとに分けられるので、iCloud・App Store・FaceTime・iMessageまで完全に隔離できます。2026年に入ってからApple側の端末検出が厳しくなったこともあり、実機ベースのiOSクラウドが選ばれる場面が増えました。
ショップごとに必ず分けるべき5つの情報
ブラウザとデバイスを分離しても、下記の情報が店舗間で重複していれば人間の目でも即バレします。
- メールアドレス:Gmailの「+alias」は同一アカウント扱いなのでNG。別ドメイン推奨
- 電話番号:SMS認証で使う番号は店舗ごとに別番号
- 銀行口座:家族名義の共有はリスク。屋号口座を店舗ごとに開設が理想
- 発送元住所:自宅住所を全店で使うと即座に紐づけられる。バーチャルオフィスや倉庫代行を検討
- ショップコンセプト・商品説明文:商品説明のコピペはBASEもSTORESも社内で類似判定している
日本国内で使えるプロキシの選び方
BASE.jpとSTORES.jpに使うなら、日本IPが必須です。海外IPで運用すると「不審なアクセス」フラグが立ちやすくなります。選択肢は主に3つです。
| 種類 | 特徴 | 月額目安 |
|---|---|---|
| 日本 Residential Proxy | 実在する一般家庭IP。最も自然 | 3,000〜10,000円 |
| 日本 ISP Proxy(静的) | データセンター発でも日本キャリア扱い | 1,500〜5,000円 |
| 日本 Mobile Proxy(4G/5G) | SoftBank / Docomo / AU回線 | 8,000〜20,000円 |
2〜3店舗ならISPプロキシで十分です。5店舗以上、または広告出稿を伴うならresidentialかmobileが安全です。
実際にありがちな失敗パターン
- Chromeの「プロファイル切り替え」で済ませてしまう → 指紋が全部同じなので意味なし
- VPNだけで対策したつもりになる → Canvas / WebGL指紋は素通り
- 店舗間で商品写真を使い回す → EXIFデータや画像ハッシュで類似判定される
- 同じスマホで2店舗のアプリを切り替え運用 → IMEI・広告IDで即連携
- サポートに問い合わせるとき別ショップの話を持ち出す → 人力で紐付けられる
よくある質問(FAQ)
Q1. BASE.jpは規約で複数ショップを禁止していますか?
BASE.jpの利用規約に「1人1ショップ」の明文規定はありません。ただし「同一運営者が複数アカウントで不正利用した場合は停止処分あり」とされており、実運用の判定基準は非公開です。ジャンルを完全に分けるなど、実質的に別事業として運営する形が安全です。
Q2. STORES.jpも同じですか?
STORES.jpも「1人1ショップ」は明記されていません。ただし本人確認書類の重複、振込先口座の重複はシステム側で検出されます。
Q3. アンチディテクトブラウザは違法ですか?
ブラウザ自体は正規のソフトウェアで、日本国内で利用しても違法性はありません。企業のマーケティング部門やWebテスト会社も業務で使っています。利用規約違反になるかどうかは、利用先のプラットフォーム個別の判断です。
Q4. 何店舗まで安全に運営できますか?
個人レベルなら3〜5店舗、法人化して発送元・銀行口座・担当者を明確に分けているなら10店舗以上でも問題は起きにくいです。数より「情報の分離度合い」の方が重要です。
Q5. AndroidクラウドフォンとiOSクラウドフォン、どちらを選ぶべきですか?
BASEもSTORESもAndroid版アプリで管理機能はほぼ完結するため、コスト重視ならAndroid。iOS限定の連携アプリを使う、またはBeReal・Snapchatなど別のiOS依存アプリと組み合わせるならiOSを選びます。
次に取るべきステップ
いきなり全店舗を分離する必要はありません。今のメイン店舗はそのまま運用しつつ、2店舗目を立ち上げるタイミングでアンチディテクトブラウザを導入するのが現実的です。
3店舗目以降、またはモバイルアプリからの操作頻度が上がってきたらクラウドフォンを追加する、という段階的な拡張が最もリスクが低いです。
店舗数が増えるほど、アカウントが1つ止まったときの機会損失も大きくなります。分離設計は「面倒だから後回し」にせず、2店舗目の時点で入れておく方が結果的に安く済みます。
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