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原題「SUFFRAGETTE」サフラジェット
意味は20世紀初めミリタンシーと呼ばれた戦闘的な活動をする女性参政権活動家を指す言葉として「デイリー・メイル」紙がつくりあげたもの、とパンフに書いてありました。
邦題はなんかボンヤリとしていますが、原題はわかりやすいですね。

主演はキャリー・マリガンです。「17歳の肖像」で注目を集めたオードリー・ヘップバーンの再来ともうたわれた人です。「SHAME-シェイム-」でマイケル・ファスベンダーの自由過ぎる妹役でした。この娘魅力的だなぁと思っていました。
ちょっとケイティ・ホームズに似ていると思います。写り方によってトリンドルちゃんにも似てる。

夫役にはベン・ウィショー。「パフューム ある人殺しの物語」が代表作ですが、最近では「リリーのすべて」に同性愛者の役で出演していました。毎回違う顔を見せてくれる素晴らしい俳優さんです。

あまり出番がないのですが、実在の重要人物で、女性社会政治同盟を設立したエメリン・パンクハースト夫人をメリル・ストリープが演じています。

そしてパンクハースト夫人を支持し、秘密の集会を開き逮捕歴が9回もあるイーディス・エリン(この人も実在の人)にヘレナ・ボナム=カーター。

そんな彼女達を取り締まるスティード警部補にはブレンダン・グリーソン。
「ハリー・ポッター」のマッドアイ・ムーディです。ドーナル・グリーソンのお父さんですよね。「コールド・マウンテン」他たくさんの映画に脇役でご出演されています。



ストーリーを少しネタバレします。

1912年のロンドン。モード(キャリー・マリガン)は劣悪な環境の洗濯工場で働いています。
何が劣悪かって、扱いがひどい。セクハラもあるし、有無を言わせず低賃金でこき使う、ブラックランドリーだよ。

この頃の女性は男性と同じように働いていても家庭でも旦那さんから特別大事にされるわけでもなく、いいように使われている感じです。

モードは小さい頃から母親の働く同じ工場で、仕事中は足下に置かれて過ごしました。父親もいないらしい。母親もセクハラ被害者なのかもしれないです。工場での厳しい環境により働く女達は皆短命と言います。実際にモードの母も早くに亡くなりました。

最初は女性参政権運動に興味のなかったモードも同僚バイオレット(アンヌ=マリー・ダフ)の働きかけやイーディス(ヘレナ・ボナム=カーター)との出会いにより活動に参加していくのです。

運動にまだ積極的ではなかった頃、モードは投獄されます。
モードはDVで怪我をしたバイオレットの代わりに法律改正の為に下院の公聴会で工場での待遇を証言したのです。
バイオレット達と行動を共にしたこともあり、また写真を撮って個人をマークする捜査方法が導入されたこともあって、逮捕されてしまいました。

理不尽です。弱者のモードに容赦のない追い討ち。頭に浮かんだ言葉は「窮鼠猫を噛む」

案の定でした。スティード警部補から警察のスパイになれと言われても断り、夫(ベン・ウィショー)に家を追い出され、子どもとも会えなくなっても、今、自分の代わりにセクハラを受けている働く少女やこれから生まれてくる女の子の為に世の中が変わってくれることを切望するんですね。

立派です。
活動にも積極的に関わるようになっていくのです。郵便ポストを爆破したりね、結構過激。もっとすごいこともしてた。
証拠もないのにまたまた投獄もされてハンストしたら無理やりチューブで食事を流し込まれてた。
これ見て警部補も「えー引くわ〜」って感じ。

バイオレットが妊娠して活動から離れたり、イーディスが病気で夫に活動を止められたり、離婚されたり、子どもが里子に出されたりモードには辛いことばかり起き続けます。

でも、逆に失う物がなくなるって強みですよね。モードは辛い目に遭えば遭うほどに強くなっていくんですね。すごい。

この話の中ではモード自身が幸せになれたかどうかはわかりませんが、モード達が時代を変えていったことは事実でしょう。
モードは架空の人物であっても、本当にモードのような女性がたくさんいたのだと教えられました。

人間って100年経っても愚かですから、こんな物語を知る必要があるのだと思います。

モード達から100年の未来の今の世にも、貧困あり差別あり、不当な扱いもありますね。なんだかお恥ずかしい限りです。
花束になったかどうか、もうしばらく様子を見ましょうか。