管理費の滞納に関する次の記述のうち、民法及び民事訴訟法によれば、最も適切なものはどれか。

 

 

❶管理組合が、管理費の滞納者に対し、滞納管理費の支払を内容証明郵便で請求した後、その時から6カ月を経過するまでの間に、再度、滞納管理費の支払を内容証明郵便で請求すれば、あらためて時効の完成猶予の効力が生じる。

 

❷管理費を滞納している区分所有者が死亡した場合、遺産分割によって当該マンションを相続した相続人が滞納債務を承継し、他の相続人は滞納債務を承継しない。

 

❸管理費の滞納者が、滞納額25万円の一部であることを明示し、管理組合に対し5万円を支払った場合には、残りの20万円については、時効の更新の効力を有する。

 

❹管理費の滞納者が行方不明になった場合には、管理組合は、当該滞納者に対し、滞納管理費の支払についての訴えを提起することができない。

 

 

 

宝石紫

 

 

 

宝石ブルー

 

 

 

宝石白

 

 

 

宝石緑

 

 

 

宝石赤

 

 

 

 

正解は❸ 権利の承認があったときは、時効は更新され、その時から新たにその進行を始める。管理費の滞納者が、滞納した管理費の一部であることを明示して、管理組合に対して支払いをした場合、滞納した管理費全部についての権利の存在が明確になることから、残りの滞納管理費について時効の更新の効力が生じる。

 

❶内容証明郵便による支払の請求は、消滅時効の完成を6カ月間猶予させる催告としての効力が生じる。しかし、催告により時効の完成が猶予されている間にされた再度の催告には、時効の完成猶予の効力は生じない。

 

❷管理費を滞納している区分所有者が死亡した場合、その滞納している債務は金銭債務として可分であるから、各相続人の相続分に従って分割され、各相続人は、その分割された債務を相続する。したがって、遺産分割によってマンションを相続した相続人だけでなく、他の相続人も滞納債務を承継する。

 

❹裁判所に訴えを提起すると、訴状が被告に送達される。この送達は、原則として被告の住所等になされるが、被告が行方不明の場合には、公示送達によって行うことができる。したがって、管理費の滞納者が行方不明の場合でも、管理組合は当該滞納者に対して、滞納管理費の支払についての訴えを提起することができる。