Aが、自己の所有するマンションの一住戸甲をBに売却する契約の締結について、Cに代理権を授与した場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、最も不適切なものはどれか。
❶Cが制限行為能力者であった場合に、Aは、Cの制限行為能力を理由に代理行為を取り消すことができない。
❷Cが、売却代金を着服する目的で、当該代理権の範囲内において、当該契約を締結した場合に、Bが、Cの当該目的を知ることができたときは、Cの行為は代理権を有しない者がした行為とみなされる。
❸Cの子Dは、CがAから預かった書類をA及びCに無断で持ち出し、Aの代理人と称して当該契約を締結したところ、これを知ったBが、Aに対して、追認をするかどうかを確答すべき旨の催告をした場合に、相当の期間内に確答がなかったときは、Aは追認をしたものとみなされる。
❹Cは、Aの許諾を得たとき、又はやむを得ない事由があるときでなければ、復代理人を選任することができない。
正解は❸ 無権代理行為が行われた場合、相手方は本人に対し、相当の期間を定めて、その期間内に追認するかどうかを確答すべき旨の催告ができる。この場合、本人がその期間内に確答をしないときは、追認を拒絶したものとみなされる。したがって、Bの催告に対して、Aが相当の期間内に確答をしなかったときは、Aは追認を拒絶したものとみなされる。
❶制限行為能力者が任意代理人としてした行為は、行為能力の制限によっては取消しできない。したがって、Cが制限行為能力者であっても、AはCの制限行為能力を理由に代理行為を取り消すことができない。
❷代理人が自己又は第三者の利益を図る目的で代理権の範囲内の行為をした場合、相手方がその目的を知り、又は知ることができたときは、その行為は、代理権を有しない者がした行為とみなされる。したがって、BがCの売買代金着服の目的を知ることができたときは、Cの行為は代理権を有しない者がした行為とみなされる。
❹委任による代理人は、本人の許諾を得たとき、又はやむを得ない事由があるときでなければ、復代理人を選任することができない。したがって、Cは、Aの許諾を得たとき、又はやむを得ない事由があるときでなければ、復代理人を選任することができない。