ANN 5/7 vol.5 | キロクブログ

ANN 5/7 vol.5

愛のプロローグ

愛のプロローグ

2008年のゴールデンウィーク。

今年は前半と後半に分かれていた為、独り身の僕は前半は実家で、

後半を自宅でゆっくり過ごすことに決めていた。

予定通り、前半の休みを実家で過ごすと、一路、都内の自宅へと車を走らせた。

都内へと向かう高速道路は、それなりに混んではいたものの、比較的順調に進んだ。

しかし、運転があまり得意ではない僕には、東京までの道のりを一気に走ることは難しく、

途中何度もサービスエリアで休憩をした。


ひとつ目に寄ったサービスエリア。

そこにはたくさんの車が停車し、思い思いの休憩時間を過ごす人でごった返していた。

そんな中、僕はひとりの女性に目を留める。

歳は僕とそう変わらない、20代前半の女性。

僕は彼女を見ているうち、心拍数がグングン上がっていくのを感じた。

なぜなら、彼女の顔立ち・髪型・服装、そして歩き方に至るまですべてが僕のストライクゾーンだったからだ。

長い運転で疲れていた僕も、彼女を見たおかげで一気に元気を取り戻すことができた。

予定していた時間よりも早く、サービスエリアをあとにできたのも彼女のおかげだった。

しかし、ここからがこの話の本題なのだ。


1箇所目のサービスエリアをあとにしてから数十キロ、僕は2箇所目のサービスエリアへ入った。

こちらも先ほどと同じように、たくさんの車でごった返していたが、

僕が駐車スペースに車を入れると、その隣には見たことのある車が停まっていたのだ。

そう、それは先ほどストライクゾーンど真ん中の彼女が乗っていた車だ。

僕は飲み物を買いに行くのを止め、再び心拍数を上昇させながら、

そのまま車の中で待つことにした。


待つこと2分、彼女はまだ戻ってこない。

待つこと3分、いまだ戻ってくる気配なし。


そうやって待つ間、僕は少しずつ冷静さを取り戻していた。

似ている車など、いくらでもある。

そもそも2回も連続してサービスエリ、セリ、サービスエリアで会うという偶然が、この世にあるわけが無い。

もしもそんな事があったら、それはもう運命でしかない。

僕はそう思い、本来の目的であったトイレに行こうとサイドブレーキを引いた。


しかし、その次の瞬間、運命というものが僕の元に訪れてしまった。

前方からこちらへと向かってくる見覚えのある女性。

顔立ち・髪型・服装・歩き方、そのすべてが先ほどの記憶と一緒。

2度連続の奇跡。

僕の辞書に「運命」という言葉が書き加えられた瞬間だった。


だが、僕がそんな感動に浸ってるうちに、彼女は車に戻り走り始めてしまった。

まずい。彼女はまだこの運命に気づいてはいないのだ。

「おい、待つんだ!君の王子はここにいるんだよ!」

僕は心の中でそう叫びながら車を発進させ、アクセルをめいいっぱい踏み込んだ。

サービスエリアを飛び出し、本線に戻ると、僕は彼女の車を探し始める。

しかし、彼女の乗った車はどこにも見当たらない。

走っても走っても、あの車の姿はどこにもなかった。

僕は呆然とし、スピードを落としながら、運命という言葉の意味を全世界に向かって問いかけた。

これを運命と呼ぶならあまりにも惨い。

僕は落ち込み、路肩に車を停めようとバックミラーに目をやった。

だが、そのバックミラーにこそ、本当の運命は存在していた。

バックミラーに写っている車。

それは正しく、彼女の車だった。

全世界の全人類よ。僕に力をありがとう。


力を貸してくれたすべての人にお礼を済ませると、

僕はすぐさま、まだ僕らの運命に気づいていない彼女にサインを送ることにした。


ブレーキを5回

そう、「アイシテル」のサインだ。

僕がサインを送ると、彼女はそのお返しにクラクションをならした。

それはそれは大きな音だった。

周りからすれば、ただのクラクション。

しかし僕には、こう聞こえていた。

「私も、あなたのこと、ずっと前から好きだったの。だから抱いて。ううん。なんだったらめちゃくちゃにして。」

アッハ、そうかぁ。やっぱりそうだったのか。


自分たちの運命を共有した僕らは、そのまま都内へと走り続け、

いつの間にか僕のほうが彼女の後ろを走るようになっていた。


そして、とある出口で高速を降りると、僕は彼女の家まで着いていった。

だが、彼女は大きな駐車場に車を駐車させ、すぐさま車から降りるとそのまま駆け足になり、

僕のほうには見向きもせず、路地裏へと消えてしまった。

駐車場を見ると、『月極駐車場』と書かれている。

おそらく、車をここに停めてどこか近くの家に住んでいるのだろう。

「もしかしたら、荷物を置きに行きまた戻ってこようとしているのかもしれない」

そう思い、駐車場の前で待ち続けることにしたのだが、彼女は結局戻ってこなかった。


そして、僕はその夜決心した。

ゴールデンウィークの後半戦は、ここで彼女を待ち続けよう。

そう決めたのだ。

そして、翌日から計画通り、僕は駐車場の前で彼女を待ち続けた。


5月3日土曜日、朝7時から張り込み。だが、彼女は現れず、午後11時に退散。

5月4日日曜日、朝6時から張り込み。彼女は現れず。彼女の車のガソリンが減っていないことを確認。午後11時に退散。

5月5日月曜日、朝7時から張り込み。車はある。ガソリンも減っていない。汚れが気になったので、彼女の車を洗車し、午後11時に退散。

5月6日火曜日、朝6時から張り込み。近所の人に聞き込みを開始。情報は得られず。雨よけのカバーを買ってきたので、それで彼女の車を包むと午後11時に退散。

5月7日水曜日、朝6時から張り込み。会社に有給休暇をもらった。念の為彼女の車にGPSを取り付ける。今夜は明日の朝まで待つことを覚悟し、ラジオの周波数を1242に合わせる。

深夜1時40分現在、彼女は現れず。


これが僕の、今まさに進行中の愛のプロローグです。

僕も頑張りますので、小栗さんも生放送頑張ってください。

そして、三枝さん。

小栗さんはいろいろ言いますが、僕はあなたを応援しています。


音符荒井由実 『中央フリーウェイ』音符


松任谷由実さんで『中央フリーウェイ』をお聴ききいただきましたぁ。

まず、長っ!文章長っ!・・・えぇ?フフフ(笑)

初ですよ、3枚。もぅ大変!みなさん、もうね。

ということで今夜も『愛のプロローグ』お届けしましたがってこの説明すんの、

すごいもうめんどくさくなるぐらいのお話だよ、これ。

犯罪だし!高速道路でブレーキ5回とかアウトだし!完全ないよ。三枝くん、これ。

今必死にさ、「今夜の話は東京都ラジオネーム・ユウタ。24歳からいただきました」をちゃんと言いなさいと。

で、ちょっと東京都ラジオネーム・ユウタ24歳からのメールを読みましょう。

クローバー高速のサービスエリア2箇所で、同じ女の人と連続して会った。

・・・ハァ・・・はい、以上です。おかしいなこれ・・・えっ・・・もっとちょうだいにきてるよこのメール・・・ハァ

目がシパシパしてきた。おかしいなぁこれ、『もっとちょうだい』にきてるメールだし、

『高速のサービスエリア2箇所で、同じ女の人と連続して会った』テンションあがるメールでしょ?ってゆうつもりで東京都のユウタ送ってきたのに。

犯罪者になっちゃったじゃん、これ。ハハハハハハ(笑)

しかもユウタ、ね。全然、三枝くんの応援なんかしてないじゃん(笑)

ほんっとに、ビックリするねぇこれ。

三枝くんの・・・なに?やりたい放題のコーナーじゃんこれ。

名前変えようよ、もう。『三枝のやりたい放題』ってゆうコーナー名にしようよ、これ。フフ(笑)

なんだこれ!テンションがた落ちだよ。ハハハハハハハハハ(笑)

まぁね、今夜の話はゴールデンウィークに勘違いしてしまったお話でしたと。

あのほんとにみんなね、マネしちゃいけないことだらけだからぁ、

これはね、あくまでほんとのフィクション、ね。

ラジオの中のおもしろラジオドラマってことでね、捉えてください。

もう、ユウタね、ちゃんと住所書いてあるからクノールあげちゃう。あげちゃう!ヘヘヘ(笑)

俺ねぇ、俺でも昔俺もね、こゆことあった前。

こゆことあったってゆうかぁ、もう、ほんっとに、代々木の駅でひとめ惚れを18か19・・・の時かなぁ、18・・・17ぐらいか、高校生ぐらいの時かなぁ、

ほんっとにひとめ惚れをしちゃって、すっごくきれいな人に会って、

それから友達と3つのグループに分かれて、その人を代々木で捜索するってゆうことを(笑)

1度やったことがある。フフフ(笑)

見つからなかったぁ・・・ッチ。

あの人にはどうしても会いたかったんだけどなぁ、あん時は。

ま、そんなね、そうゆうことってありますよね。一期一会ですから。うん。


ま、そんなわけで、今後も毎週朗読していきますので、みなさんの愛のプロローグを送ってください。

ただの幸せな恋愛話ではなく、愛や恋というものを履き違えた、勘違いな恋バナを待っています。

メールアドレスはすべて小文字でoguri@allnightnippon.com

はがきのあて先は〒100-8439 ニッポン放送 小栗旬のオールナイトニッポン 『三枝くんのやりたい放題』の掛までお願いします。

たくさんの愛プロ、お待ちしていまーす。


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