大学生のころジャズにハマっていた時期があります。きっかけはエリック・ドルフィーというサックス奏者のファイア・ワルツという曲でした。ファイア・ワルツが収録されているLPAt the Five Spot Vol.1というタイトルでジャズ界名盤の一枚、というのは後になって知ったことです。それまでロックとポップスそれからクラシックも少し聴いていましたが、ファイア・ワルツのエネルギーのすさまじさと凄腕テクニックに圧倒されたのですね。結局はロックのほうがもっと好きなのですが、ジャズでは凄いテクニックをさらりとこなす風な粋な感覚も印象的でした。当時好きだったリッチ―・ブラックモアにはやや自分のテクニックに酔うナルシスト的な部分を感じますが、ジャズメンたちのひけらかさないテクはロックより上のような気がしていました。本当のところは今もわからないんですけど。で、しばらくロックを離れて、有名なジャズLPを片っ端からレンタルしたり安いCDを買ったりして聴きまくりました。なので知識だけはそれなりにつきましたが、演奏なんてとんでもなく、自分にとってのジャズはあくまでも聴いて楽しむ音楽ですね。その点ロックは一生懸命頑張ればスターたちの名曲をなぞるぐらいはできるかもという意欲を掻き立ててくれる点がいいですね。だから今も頑張って練習しているわけです。

 

さて急にこんなことを書いているのは、先日久しぶりにジャズ喫茶の匂いを嗅いだからです。自宅近くの早稲田大学付近で義姉と喫茶店を探していました。「ミュージシャンの魂を聴きとれ!」という文字が見えたお店のドアを少し開けるとジャズの大音量が聴こえてきました。私一人だったらそのまま入ったのですが、義姉と一緒だったので思わずドアを閉めてしまいました。失礼なことをしたと反省しています。昔からジャズ喫茶では「会話してはいけない」という基本ルールがありますので、あの時は入れなかったのです。

義姉と別れたあと調べてみると、そのお店はやはりちゃんとしたジャズ喫茶のようでした。新宿はかつてジャズ喫茶が多くあった街なのですが、東京に来てすぐ有名だったDxxに入ってがっかりした記憶があり(びっくりするほど音が小さく、お客は皆会話していた)、もう往年のジャズ喫茶はなくなったのかと思っていたのですが、平成の世でも学生街には昔ながらのジャズ喫茶が残っているようでうれしくなりました。ソフトもハードもドリンクはオール500円というのも最高です。ぜひ近いうちに行って、先日の非礼をお詫びし、じっくりとエリック・ドルフィーを聴いてみたいと思います。