ある「自由」のないわたしは――「アタシ」になり、20代になり、したこともない一人暮らしを、見たこともない部屋で過ごす。

OLになり、大学生になり、フラフラと見知らぬ男と恋人になり、傅かれ、満たされ、裏切られない喜びを、空しく追い求める。

18歳になり、25歳になり、まだ見ぬ老いへの恐怖も忘れ、ただただ春のような、ぼぅとした微温湯のような、果てない夢想の時間を、肌を合わせられなかった「誰か」と過ごす。

そこにはたるんだ肌や、いつからか消えない皺や、煩わしい声や、かさついた指先もない。

記憶の中で、夢の中で、心の奥底で、見たかったものが、触れたかったものが、欲しかったものが――毀れる。


ああ。

「アタシ」はわたしに戻った時、「不自由」を取り戻した時、その欠片を、白い紙に浮かび上がらせたいと願うから、指が止まらない。