くる*くるり9周年記念企画「空を見上げて。」20 | くる*くるり

くる*くるり

ふたりといっしょ

いつまでも






このお話は

にじいろ。こころ。いろの
こころ。さんとのコラボ企画です。
前話はこころ。さんのお部屋にあります。






「 空を見上げて。」20




「  …ユノ、」


指の震えが止まらなくて
ぎゅっと拳を握りこんだ。

名前を呼ぶ唇も同じだ。



『  …お前…  』



ユノは 積まれたダンボールに
手を掛け ため息を漏らす。


『  …どこへ行く。 』


「  …ユノには…関係ないよ。」


『 …関係ない…か。 
お前はいつだってそうだな。』


落胆したような声でそう言うと
僕から視線を外して。



『  あの時も…  言えばよかったんだ。
力になれたかもしれないのに。
いや… なってみせた、なりたかった…』



「  あの時って…  」



ユノのその言葉に 思い浮かべるのは
あの忌々しい過去のことだけ。




「  なんで?  あのことは誰も知らない…はず…」




墓場まで持って行く覚悟だった。
それをどうしてユノが…?


「  …先輩…?」


いや、でも…  詳しくは語ってない。
ユノは 天秤にかけたのか、って聞いた。
だから ただの浮気だって思っていたはず…


『   …あいつに脅されたんだろ?
かなりの悪党だったらしいじゃないか。』




「  先輩から 何を聞いたか知らないけど、」



「  理由は何であれ あんな男に近づいた
自分が悪いから…  」




ーーーバーン!!



静かな部屋に大きな音が響いた。
ユノが積み上がったダンボールを
殴ったからだ。


『  そういうとこだろ!?
なんで 俺を頼らなかったんだ。
俺ら そんな薄情な関係だったか?
お前にとって 俺は それほど役に
立たない男だったのか?』


激昂するユノが怖くて
ジリ…と後退りをした。
その様子を見たユノが 初めて
僕に見せた顔に 僕は犯した
罪の重さを改めて感じた。


ユノは心が 空っぽになった…
そんな表情だった…


原因は 僕が裏切ったからじゃない。
僕がユノを理解して知ろうと
しないからだ…
こんなに僕のことを想ってくれていても
僕がそれらを全て拒絶してきたから。

欲しがって近づいたくせに
結局僕は ユノを撥ねつけるだけ…

「  …ユ…   」


『   …  ぅ…  』



大粒の涙が ユノの頬を伝った。
頬の傷が キラっと光る。
ユノが泣いた。
そんなユノを僕は知らない…


手を伸ばし 駆け寄っていいの…
僕は 拒絶されたんじゃないの…

足が固まり動けない…
その間も ユノの肩は震えている。


ユノが ぎゅっと目を閉じた時だった。


「 ユノ…!」


縺れそうな足を必死で前へ踏み出す。


「  ごめんなさい、貴方を頼りにしてなかった
わけじゃない。 でも…社内のことだったから
自分でなんとかなるって、
でも…間違いだった…すべて…すべて…」



「  あの日に戻りたい…  」


あの日に戻ったら 今ならわかる、
あの時どう言えばよかったか、
たったひとこと

辞めさせていただきます、と。




『  …あの日に戻ったら 俺らは
今も一緒にいると思うか?』


僕は コクと頷いた。


『  俺は 汚れちゃったけど
それでもか?』



もう一度頷く。




すると ユノが 少し照れ臭そうに
両手を広げた。

飛び込んでいいの…?
今までの僕なら そう思い
すぐに足は出なかったろう。


でも 今の僕は違った。
愛しい人がそこにいる、その胸に
飛び込んでいい、ユノが
そう言ってるんだ。



「 ユノ!」




抱き締められた温もり、
先輩や カズさんとは違う
ユノだけが持つ温度だ…


「  ユノ…ユノ…  」



僕のユノ…  もう離れない…
いいよね…



自然に吸い寄せられた唇…
ユノの 少し厚い下唇の弾力に
口づけの相手が 紛れもなく
ユノだと確信し 安心して
身を委ねた…


転がるように 口づけを交わしながら
硬い床に寝かされた時には
もう唇の感覚がなかったほどだ。


ユノの瞳に僕が映っている…
僕だけが 映し出されている…



「  ユノ…  このまま…お願い…  」





つづく。






次回は こころさんのお部屋で
お待ちしています。






こんにちは。
予約投稿です。
私は多分 今ごろ お寺かな? と思っています。
朝 どういう状況かわかりませんが
高速がとまらない限り 行かない理由が
見当たりません…えーんえーん
気をつけて行ってきたいと思います。

さて  お話ですが…
本日ものんびり更新のこのお話を
読みにきてくださり ありがとう
ございます。

そして ここちん ごめん🙏
バトンタッチ。
苦手なんだよね…  うんうん、
知ってるのにごめんね。
でもアメブロ 飛ばされちゃうからね…
アメ記事で書いたら 肝心のここちんが
読めないし…
ということで ゆだねます。
どうぞよろしくお願いします。

メニメニにたくさんのコメント
ありがとうございます😊
これからも応援よろしくお願いします。

それでは。。
いつもありがとうございます。
ヤル気の源ポチッと応援してね。
にほんブログ村 BL・GL・TLブログ 二次BL小説へ