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やる気をコントロールする基本的なやり方は、適切な目標を設定し、兎にも角にも始めてみることです。

適切な目標とは、具体的に今日はこれをやるといったような短期的な目標のこと。
今週の予定を立てると言った中期的な目標と組み合わせるとなお効果的です。自分の能力と相談して、無理のない目標を設定してみて下さい。
時間を刻んでのスケジューリングは大抵その通りにはいかないので私はお勧めしません。むしろ時間通りに行かないストレスの方が大きくなってしまう気がします。
それから、例えば「○○に合格する」という目標設定は遠すぎる上に抽象的すぎるので、日々の学習の励みとするのは少し難しいです。

また、とにかく行動を起こしてしまうことによってやる気は引き出されます。
作業興奮といって、5分〜10分ほど作業を続けていると脳からドーパミンが出始めるそうです。
とりあえずやるべきことを目の前に用意してしまい、まずは5分で良いから手をつけてみましょう。

ただ、本音を言えばそれだけでやる気が持続できるなら苦労はないなぁと思ってしまいます。
そこで、自分をコントロールするために必要だと思われるポイントを3つご紹介します。



ポイント①心理的負荷の軽減

やらなければいけない事がある時、深層心理の中ではやる気の優劣は決まっているようです。
そして、「やろう」と決断しても「やめておこう」と決断しても、深層心理の中で大きい割合を占めている方の気持ちがさらに大きくなってしまいます。
これを心理学では「心理的覚醒による優勢反応の強化」と言います。

例えば、試験前に「よし、やるぞ!」と気合いを入れてそのままスマホをいじっていたなんて経験はないでしょうか?
この場合、深層心理が「やりたくない」気持ちの方が強い状態にあるため、あえて逆に「思い切って休もう」と決断していたとしてもおそらくやる気の引き金にはならなかったということですね。

その為、深層心理の中での優劣をやる気の方に傾けてあげる必要があります。
勉強に向かうときの主なストレスを少しでも取り除いていくことが、やる気の優劣を逆転させる事につながります。

例えば、納得できないところが多すぎるのなら意味がわかるまで一つずつ徹底的に調べる、分量が多すぎるなら小分けにする、興味が持てないのなら面白いと思っている人はどこが面白いと思っているのか興味の持てるポイントを探る、など、自分の課題に応じて工夫することが大切です。
普段の学習においても、その視点を持ってストレスとなりそうなところをその都度減らしておくことで快適に学習を継続することができます。後回しにしていると、逆にストレスとなる要素が溜まってしまって手がつけにくくなっていきます。
勉強が嫌いだという人は、勉強のどこが嫌いかを今一度よく考え、その要素が取り除けないか思索してみましょう。



ポイント②質の高い勉強をすること

勉強において「飽きる」という感覚は存外無視できない感覚で、一度飽きがきてしまうとどうにもこうにも向き合えなくなってしまいます。
これを気合や根性でどうにかしようとすると、結局解決せずに自分を責めることになってしまいます。

例えば予備校で優秀なクラスにいるはずの生徒が授業をさぼって遊びに時間を浪費するなんて場面がよく見られます。
そういう生徒はすでにこれまで相当量の努力をしてきているはずですから、努力ができないというよりは、すでに受験の範囲の勉強に飽きてしまっている可能性があります。
その場合、さっさと受験勉強は切り上げて別の事をした方が効率が良いのだろうなと私は思います。

どこかの段階で必ず飽きは来るので、その前にしっかりした形で習得し切ってしまうべきです。
勉強は密度が命、やるならば質の高い学習をしなくてはなりません。

特にロジカルな部分に関していうと、理解するのは早ければ早いほどいい。
骨組みを理解した後は可能な限り基本に立ち戻り、暗記し、肉付けを行なっていくことになります。
長期記憶の定着といった観点から、ここにはある程度の時間をかけて繰り返したいところです。
感覚が馴染むにも時間が必要な場合もあり、聞いて理解したけれど何かしっくりこないなんてこともあります。
一日おいて、脳の記憶が整理されるのを待った方がスムーズに使いこなせるようなこともあるでしょう。
インプットとアウトプットを繰り返しながら、飽きる前に習得してしまいましょう。

また、丁寧に勉強することも大切です。
一度雑に捉えたものを丁寧に捉え直すのが難しいのは、既に一通り学習して飽きてしまっていることを、1から分解して丁寧に長時間向き合うのが難しいからです。
どうしても「これはわかる」と読み飛ばしてしまっていることの中に重要な見落としが潜んでしまいます。
どれだけ丁寧にやったとしても最初からこの見落としを0にはできないのですが、この見落としは多ければ多いほど回収が困難になってしまいます。

そう考えると、学校で一定の準備期間を設けて定期的にテストを繰り返すというのはとても理に適っていますね。
一夜漬けのような定着しない勉強は徒労感が強く、長期的に見るとやる気を削いでしまいますから、テストに合わせた中期的なスケジュールを組んで見て下さい。



ポイント③自分自身と向き合うこと

大切なのは自分の感覚に素直になることと、自分を上手に説得してあげることです。

集中できそうな環境を整えてみたり、場所を変えてみたり、体を動かしてみたり、できそうな事は積極的に取り入れていきましょう。
短期的にやる気を出す方法の一つにご褒美を設定することがありますが、様々な学びの中で「学ぶことそのものが自分自身を豊かにする行為である」という実感を持つことができれば、報酬は「学びを得ること」に変わっていきます。
「勉強が好きだ」という人は、もう勉強をやめたくてもやめられない状態なんじゃないでしょうか。

やる気にはどうしても波があるので、何をやってもやる気が出ない時は、思い切って休んでしまえば良い。
逆に、自分にやる気が降りてきている時は必要か不必要かに関わらずやり時、何でもやれるうちにやっておいた方が後が楽です。

継続的に無理のない努力を日常化することができたとしても、たまには自分の限界も度外視して思いっきり勉強するのも自分を広げるいいきっかけになります。
無理をしすぎないことと、時々本気を出すことのバランスが重要。

体調や精神状態もやる気に大きく影響するファクターだと思うので、生活リズムと精神を整えるといいかもしれません。
ただ、友人から精神的に追い詰められている時の方が調子がいいという話も聞いたことがあるので、まぁどんな状態が勉強に向いていると感じるかは人それぞれなんでしょう。



私自身は学生の頃、やる気が出せないのは自分自身の気合いが足りないせいだと考えていたんですが、自分なりにできるようになってくると「気合や根性には限界があるな。私は自分のコントロールが下手だったんだな。」と思うようになりました。
少しでも参考になりましたら幸いです。

思ったより長くなってしまったので、ワーキングメモリの話は次回!