私の考える、中学受験で基本となる勉強方法についてお話ししようと思います。
ここでお話しするのは、未習の単元がある6年生前半までのお話になります。
中学受験塾に通い始めてカリキュラムに追われ、宿題を終わらせるので手がいっぱいだと悩まれている方は多いと思います。
塾の宿題は難しく量も多くて大変なのですが、理解できない所を大量に残したまま先に進んでいっても成績の向上は望めないでしょう。
手段と目的がすり替わってしまい、やることが後手に回ってしまうと良いサイクルは作れません。
勉強は習慣化する事が大切です。
無理がある勉強方法は長続きしませんし、定着度にもムラが出がちです。
優れた勉強方法を評価する軸はいくつかありますが、思考力を育て、忘却を補い、モチベーションが持続しやすいことが大切だと考えています。
継続していけば子供自身のキャパシティも広がっていき、より難易度の高い作業がこなせるようになっていくでしょう。
▽勉強がしやすい環境作り
▼教材の整理
塾の教材は多いですから、カテゴリごとに収納ボックスで整理するのがおすすめです。
(佐藤ママの本を読んでいいなと思ったので私も真似をしております 笑)
教科のボックスで関連するノートやテキストをまとめておくと、必要な資料をすぐに取り出して見比べながら勉強しやすいです。
訪問指導中の生徒の収納ボックス
▼1週間のスケジュールを決める
通塾している以上、塾のカリキュラムを適切に活かすことは重要な課題です。
塾のスケジュールは大抵曜日で決まっていると思いますので、1週間のサイクルをある程度決めたほうが学習がしやすいでしょう。
例えば月水金に授業がある場合、以下のようにスケジュールを割り振ることを推奨しています。
月 【授業A】 A復習・暗記
火 A宿題1回目 C2回目
水 【授業B】 B復習・暗記
木 B宿題1回目
金 【授業C】 C復習・暗記
土 C宿題1回目 A2回目
日 B2回目 復習テスト直し
授業の曜日が違ったり、時間のかかるところは微調整を行います。
同じ範囲の学習を週に3回以上繰り返し、さらに復習テストで1週間前の復習を追って行うことで反復の回数を増やし、より記憶の定着がはかりやすくなります。
勉強のノルマが終わったら、基本は自由にさせてあげましょう。
「もう終わったの?じゃあこれも・・・。」というのでは、早く終わらせようというモチベーションを削いでしまいます。
やらせたいことはなるべく最初から予定に盛り込んでおくことが大切です。
頭の回転スピードも重要なファクターになってきますので、早く解きたいという意欲は削ぐべきではないでしょう。
▽宿題の取り組み方
基本は
①授業→復習・暗記
②宿題1回目→丸つけ・直し→復習・暗記
③宿題2回目→丸つけ・直し→復習・暗記
④テストの直前に間違えた所の見直し
の繰り返しを推奨しています。
順にその詳細と理由についてご説明いたします。
① 授業→復習・暗記
小学生が授業を受けた後の頭の中は、普通初めて習ったことに対してまだまだ未消化の状態です
断片的な知識がつながっていないところも多く、そのままでは使い物にならないところもあるでしょう。
授業後は習った内容をスラスラ説明できる状態が理想ですから、その日のうちにしっかり復習を行なって知識を整理するようにしましょう。
可能であれば、授業後にノートを開かせて「今日は何を習ったの?教えてくれる?」と説明させてみてください。
保護者の方が内容を全て把握していなくても、「今説明を誤魔化したな・・。」というところはわかるはずです。
そこはテキストや先生への質問などで確認して理解させてあげないといけないところになります。
また、習慣化することで「帰って説明しないといけないから先生のこの話は覚えておこう」など、授業を聞く力にも良い影響が期待できます。
頭を整理をしたら、その日の内に覚えるべきことを暗記してしまいましょう。
これをせずに宿題をやろうとすると間違いだらけになってしまいます。
授業を聞く力もまだ未熟な小学生は、習ったばかりの単元の問題をスラスラ解けないのが普通です。
わかるはずのない問題を解き続けるのはストレスですし、間違いが多ければそれだけその後の直しも大変になります。
一生懸命やったけれど解けなかった問題が、そもそもいくら考えても解けるはずのない問題だったとしたらどうでしょうか?
そのような問題が延々続いている状況で、モチベーションを維持することはできるでしょうか?
「まともにやってもできるはずがない」という徒労感から、宿題をやらなくなってしまったり親の目を盗んで丸写しするといった状況が生まれてしまうケースは多いと考えています。
知識がなければ思考は始まりません。
しかし先に知識が頭の中に入った状態で問題を解けば、知識の組み立てや問題文の読解に意識が向くようになり、思考力も育ちやすいでしょう。
② 宿題1回目→丸つけ・直し→復習・暗記
宿題の1回目はスピードは度外視して進めましょう。
最初から早く解こうとすると、雑に解く癖がついてしまいます。
もちろん明らかにダラダラ解いている場合は注意して構いません。
丸付け・直しは必ず行います。
ここでわかっていないところ・覚えていないところをチェックしなければ正解率の上昇は望めません。
ある程度まとめてやっても、大問1問ずつやっても構いません。
他の答えを見てしまわないのであれば大問1問ずつが良いかなと思います。
間違えたところは解説を見て理解したり、ノートやテキストなど基本の知識体系に戻って理解し、できればその日のうちに解きなおすことが大切です。
③ 宿題2回目→丸つけ・直し→復習・暗記
2回目の宿題は、1回目に間違いが少なくきちんと直しができている状態であればあまり時間をかけずに終わらせることができるでしょう。
きちんとした手順がわかっている状態で早く解こうとすることは、思考スピードの訓練になりますので、ここは時間を計って解かせるのも良いです。
もちろん丸つけ・直し、基礎体系の見直しは1回目と同様に行います。
④テストの直前は間違えた所の見直し
暗記事項等、一緒に確認してあげるのが理想ではありますが、ここまできちんと勉強していれば子供の方にも「いい点数を取りたい」という意欲はわいていると思いますので、任せてみてもいいのかなと思います。
▽テストについて
いずれのテストも「なぜ解けなかったか?」を正確に分析することが大切です。
▼復習テストの扱い
その週の理解度が確認できるのが復習テストです。
出題される範囲がわかっているわけですから、なるべくは90点以上を目標として頑張ってほしいものです。
とはいえ、中々理想通りに得点できている生徒は少ないのもまた現実です。
失点してしまったところは、必ず見直し・解き直しを行わなければなりません。
その際に「どこが得点すべきところだったか?」を宿題の状況とあわせて省みることで、次回以降の宿題の質を上げる機会にもなります。
また、復習テストは捨てずに必ず取っておきましょう。
改めて基本の復習をする時、以前はどこが間違えていたのかが残っているのといないのとでは復習の効率が全く変わってきます。
もし学習が進んでから基礎が穴だらけという状況になってしまっていたことに気づいた場合は、「平均点と比べて特に悪い単元」から優先的に復習していくのが良いと思います。
▼月テスト・模試の扱い
月テスト・模試は、基本問題と応用問題に分けて考えます。
基本問題では長期的な定着度を測ります。
ここで間違いが多いところは定着が甘いので、優先的にテキストなどに戻って復習しなくてはなりません。
応用問題は、入試形式の難問に対応できるかの予行演習です。
入試で扱われる典型的なパターンや情報量が多めの問題にどの程度対応できるのかという指標になります。
応用問題のほとんどは基礎の組み立てです。
「応用の利く基礎の捉え方」とはどのようなものか、こちらも基礎体系を捉え直す良い機会になると思います。
▽伴走の重要性
中学受験は子供の幼さとの戦いでもあります。
小学生の子供が「僕(私)はこういうところがうまくできないからこっちを試してみて、ダメだったらこう変えてみよう」というような、理路整然とした試行錯誤ができるのかというと、私は難しいと思います。
子供が勉強しやすいようにサポートしてあげることは基本的には必要なことです。
「本人の自主性」というものは、「自力でできること」が増えた結果として後から身についてくるものです。
中学受験を通して、子供が良いお手本にたくさん出会うこと。
そのお手本が理に叶ったものであれば、いずれ子供が自分の力で走り始めた時に大きな力になってくれるでしょう。