台所で夕食の準備中。
右手後方より何やら黒い影。
とっさに右手で捕まえる。
ドブネズミだと思い、
思いっきり首の辺りを締め上げた。
目は充血し、飛び出しそうなほど
見開いている。
…。
一瞬、気に迷いが生じる。
娘が現れる。
「モフモフちょーだい。」
「え?」
娘に、渡す。
娘がぎゅっと抱く。
何が可愛いのか分からない。
よく見ると、ふわふわの獣。
熊の子供?
可愛いかも知れない。
殺さなくて良かった…。
娘が言う。
「おきゃくさん、来てるよ。」
客が連れてきたペットなのか?
ますます殺さなくて良かった。
振り返ると、
リビングで人が倒れている。
お客さん!?
慌てて駆け寄る。
何かがおかしい。
顔は3歳くらいの子供なのに
身体は大人
左腕が異様に太い。
そして、全身タイツを着ている。
「大丈夫ですか?」
声をかけながら、
少しファスナーを下ろした。
?!
子供の身体?
全身タイツの中身が知りたい…
ファスナーをさらに下げるー
女の人だ。
母親かな…。
子供を肩車した状態で
全身タイツを着たようだ。
だったら、左腕の膨らみは何だ?
そっと、肩の辺りを覗くー
?!
赤ちゃんだ!!!