kishi-chanです
今回は仏典に登場する霊鳥、
迦陵頻伽についてお話をしたいと思います。
なんで突然?
と疑問に思われる方は前回の記事
をご覧ください
迦陵頻伽
(かりょうびんが)
主に阿弥陀如来のいる極楽浄土に生息しているとされる想像上の霊鳥。
人頭鳥身の姿で大変美しい鳴き声を持ち、極楽ではその美しい声で人々に仏法を説いているのだとか。
ややこしい漢字ですけど、
サンスクリットのkalaviṅka(カラヴィンカ、カラビンカ)に漢字を当てたものなので、字に意味はありません。
そのため他の漢字で音訳したもの、あるいは意味を抽出して意訳したものなど、別名別字が多数存在します。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
この迦陵頻伽の姿
人頭鳥身という事ですが、
仏画や彫刻では様々に描かれてます。
人面鳥
上半身人間下半身鳥のセパレート
有翼人型
…
その他翼が生えてる場所が違ったり
人身部分の羽の有無であったり…
結構バリエーションがあります。
具体的な姿が示されていないから、
人々は想像力を働かせて様々な迦陵頻伽の姿を思い描いたのでしょうね。
私もつい描きたくなって何パターンか描いてみましたので、
こちらを使って紹介を続けます。
通常迦陵頻伽は上半身人間下半身鳥と説明されるので、
言葉通りであれば下の上下セパレートになります。
ぱっと見違和感があるかもしれませんが
古い時代の迦陵頻伽の姿は概ねこの形です。
このイラストでは鳥部分はスズメをモチーフにしてますが
一般的なのはクジャクみたいな派手な色と飾り羽が付いています。
ただし元々の迦陵頻伽、つまりカラヴィンカはスズメやヒヨドリの仲間がモデルとも言われています。
時代が下ってくるとこういう
有翼人型が一般的になります。
太ももくらいまで羽が生えてます。
現在お寺の仏画などで見る姿は服装や羽の色こそ違え、このタイプが多いです。
ただしスカート状の衣服で下半身をうやむやにしているケースも多く、ぱっと見下半身が鳥かどうか分からない事も…
そうなると天女(飛天)と見分けがつかないのですが、羽があれば迦陵頻伽です。
(ただし古代の天女には羽があったそうです。ややこしいですね)
服装としては
概ねこんな感じで菩薩様みたいな
髪型と服装です。
また天女みたいな中国風の衣服の事もあります。
素っ裸な場合もあります。
ところで、人頭鳥身の生物として有名なものに
ギリシャ神話に出てくる
ハーピーやセイレーンっていますよね。
このうちセイレーンは人頭鳥身で美しい声、
という点で迦陵頻伽とよく似てます。
ところがセイレーンは海でその歌声で人を惑わし、喰らう妖鳥なのに対し、
迦陵頻伽はその歌声で人々を癒して仏法を説く霊鳥です。
似た特徴を持つ想像上の生物が、
洋の東西で性質が真逆になってるのが面白いと思います。
そういえば本来化け物のハーピーやセイレーンは、現在では普通に可愛いケモノキャラとして描かれる事も多いですよね。
私もハーピーは可愛い印象があったのですが、神話の中での姿を知った時は驚きました。
ハーピー(ハルピュイア)
醜い顔で身体から悪臭を放ち、食い意地がはっていて所構わず排泄物を撒き散らす…
最近では迦陵頻伽もファンタジーなどで登場しているようなので、そのうち鳥型ケモノキャラとして一般化するのでしょうかね?
迦陵頻伽は絵で表現される場合雅楽器を持った姿で描かれる事も多いです。
楽器としては笛が特に多く、笛以外だと笙を持った姿もよく見かけますね。
篳篥はあまり見ないですね…
笛が多いのは音色が迦陵頻伽のイメージに合う事や、
ポーズが美しい事が理由でしょうか。
しかし上述の通り迦陵頻伽は鳴き声が美しい霊鳥であって、楽器を奏するわけではありません。
何故楽器を持っているのかはよくわかりません。
仏の周りで楽を奏する飛天と混同されたのか、
はたまた鳴き声を楽器の形を借りて表現しているのかもしれません。
また雅楽には迦陵頻伽をモチーフにした曲もあります。
そのあたりについてはまた
次回にお話ししようと思います。
それでは今日はこの辺で
kishi-chanでした。
次回