本日、日本中に衝撃が走りました。
韓国が、GSOMIA破棄!
私には、これにより、日韓、また、米国、中国、北朝鮮、其々の国にどの様な影響があるのかなどについて、論じることが出来ません。そこで、
元陸将の、福山隆様に本件について、論文を書いていただきましたので、福山隆様の代理投稿をさせて頂きます。
代理であるため、ここに、ご意見などをコメントされても返信などは行いませんので、ご了承ください。
引用される場合は、必ず、福山隆様の論文である事を明記してください。
宜しくお願い致します。
以下
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軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の継続問題
元陸将 福山 隆

 日本の輸出管理強化への対抗措置として、韓国政府は8月22日、日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄を決定した。日本から妥協を引き出すため、外交カードとして24日の更新期限ぎりぎりまで態度を明らかにせず、最後は延長に応じるとの向きが多かったため、意外と受け止める向きが多い。
 GSOMIAの破棄は、日本と韓国との間の防衛秘密の交換においては、相互に余り実害はないのではないか。防衛秘密情報の世界においては、米軍が圧倒的に優位にあり、日本も韓国も「貰う側」なのである。それゆえ、日本は韓国から情報を貰わなくてもそれほど困るわけではないだろう。 
筆者が駐韓国防衛駐在官時代(1990~93年)のことだが、自衛隊の陸・海・空幕僚監部及び統合監部と韓国軍のカウンターパートの情報参謀同士の情報についての会議は年一度相互に訪問して実施していた。その席では、当然北朝鮮情報などについての意見交換があったものの、相互に「アッ」と驚くような重要情報を与えることは無かった。情報の世界においては、もしも相手が「重要情報」を開示する場合は、「下心」があると警戒すべきだろう。「重要情報」によって相手国を「情報操作」しようとする場合か、それと同じ「重要情報」を相手から引き出す場合などがそうである。
そもそも、情報機関は「重要情報」を隠したがるものである。陸海空自衛隊相互でさえも「重要情報」はライバルには秘匿するのが常識だ。もとより、防衛省、警察庁、公安調査庁、外務省相も「重要情報」は相互に隠したがる。情報とはそのような性質を持つ。
日韓間にGSOMIAが締結され「情報交換できる間柄」であることこそが、相互信頼関係(準同盟関係)の証だった。日本は、韓国の他に米国、オーストラリア、北大西洋条約機構(NATO)などとGSOMIAと同種の協定を結んでいる。
日韓間のGSOMIAが「情報交換できる間柄」ということから考えれば、韓国軍による自衛隊機へのレーダー照射問題が生起した時点から、日韓両国間の安全保障面における信頼関係は既に大きくダメージを受けており、GSOMIAはかろうじて残っていた最後の絆だった。
この問題を米国の立場から見れば、GSOMIAは、軍事情報面における同盟国のネットワーク――対中国包囲網――の重要要素と認識しているはずだ。それゆえ、米中が覇権争いを繰り広げる北東アジア戦域の中で、日韓間のGSOMIAが破棄されることは、米国にとっては極めて大きな「痛手」になるはずだ。中国に付け入る隙を与える。
例えていえば、韓国のGSOMIA破棄は、同国がルビコン川を渡り、中国陣営に一歩近づいた感がある。朝鮮半島は海洋国家の米国と大陸国家中国のせめぎ合の地である。これまで、米中覇権争いの「活断層」は38度線であったが、韓国のGSOMIA破棄により、対馬海峡に南下する可能性が出て来た。我が国は、中国とロシアの脅威のバッファーゾーンだった韓国が中国の軍門に下れば、海洋国家米国の「防波堤・フロント」として米中覇権争いの「天王山」になる可能性がある。このような島国の小国・日本が大陸国家・中露の脅威を北海道正面、朝鮮半島正面、南西諸島正面の三正面から受けることになるのだ。
米中覇権争いの観点から見れば、日韓間のGSOMIA破棄は、中国による日韓の離間策が成功したことになり、米韓同盟の弱体化に繋がることを意味する。中国は、この事態を見て「しめしめ」とほくそ笑んでいるにちがいない。

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以上です。