ふだん何気なく蓋をして生きられるようになったものが、突然あいてきた感じ。

先生。先生。

ずっと、いつか言おうと思って生きてきた。あの時ですら、言えるかわからないなんてわかってた。こればっかりは、あの時じゃなくて、時間がたって言うことにきっと意味がある。

先生。
あのときはありがとうございました。

守ってもらえなくなるのがいやだと、そっちの側でいられなくなることが怖いと、ある種神経症的にだだっ子のように怯えていた。
傲慢さの罰として大切なものから遠ざけられたくないと。

いつか大人になる自分を直視するのもつらい。ここにいられないとわかっていたけど、そもそもいるべきと言い張ってしがみつくほど、自分も周りも信じられる自信がなかった。弱かった。

今だったら、この私だったら、てらいなくお礼が言えるだろうか。
「てらい」がなかったとしたら、それはもうそのときの私が持っていたものと引き替えに、何かを手に入れた証拠だと思うけど。それでも。


それでも。

私は、あなたのことがだいすきでした。