レスポートサックの洗濯タグを見て驚いたことがあります。ポリエステル100%と書かれていたからです。「ナイロンバッグ」の代名詞だと思っていたのに、実はナイロンじゃなく、ポリエステルだったのですね。
ムック本に書かれていた沿革を見ると、少なくとも最初はナイロン製だったようなので、どこかで素材が変わったのだと思います。
どこで変わったのでしょうか。
手持ちのレスポートサックを年代順に並べ、洗濯タグを調べてみると、2008年以降のものには、パテント系を除き「ポリエステル100%」と書かれており、2006年以前のものには何も書かれていません。
2007~8年というのは、ポケットにも裏地がつき始めた頃。それ以降、ベタつきとレスポ臭の発生が激減したそうで、この品質向上は通常、裏地がついたことと関連づけられていますが、もしかしたらそれだけではないのかもしれない。裏地がついたことでベタベタしなくなったというのは分かりますが、裏地をつけただけでは、臭いの発生までは抑えられないと思うからです。
わたしの憶測に過ぎませんが、この時期、裏地をつけただけではなく、ナイロンからポリエステルに変えたのでは?とわたしは睨んでいます。
そう考えると納得がいく資料もあります。2007年12月の挨拶です。ステラ・マッカートニーとのコラボ商品の発表しているのですが、このシリーズには100%リサイクルのポリエステル素材を使うと書かれています。
もしかしたら、これをきっかけに、ナイロンからポリエステルに切り替えたのかもしれません。
アメリカのブランドだったレスポートサックを、伊藤忠が買収したのが2006年。湿気の多い日本に住み、品質にうるさい日本のカスタマー向けにこの時期、改良が行われたとしても不思議はない。
ちなみに、裏地のついていない昔のレスポートサックには、硬くて粗いストラップやトリムがついていることがあります。パッと見はかわらずとも、実は地道に品質改良を行い、その結果、今の品質にたどり着いたのかもしれません。