東野圭吾がラブストーリー?!
まさかなー、と思いつつも本屋に行く度に気になり続け、遂に購読。
全体的に漂うそっけない雰囲気に慣れる事ができず、しばらく同作家作品は敬遠気味だったけど、
やっぱり読み始めると相当のめりこんでしまう。
どの作家のものよりも早いペースで読み込ませる力は相変わらず、天才的だ。
本屋で一番私の目を惹きつけて離さなかったものは帯の言葉。
「アイデアが生まれたのは20代。小説にしたのは30代。そして今ではもう、書けない」
その言葉の真意は本人にしか解らないだろうが、
確かにここまで恋に狂おしく悩む主人公の気持ちを描くには、
それなりのモチベーションが必要かもしれない。
それほどこの作品は、非現実的な状況に陥った中でも、根本には実らぬ恋心に悩む(というか、もはや苦しむ)三人の気持ちが錯綜している。
毎回最後にどんでん返しがあり、虚を突かれるのが彼の作品に共通することろだが、
今回はそれぞれの人の心理の動き、それも複雑な恋愛という予測が難しい中での展開だったので
結末は予想しつつも、その最終的な心情の描写には敬服した。
ただ、謎が解けた後の余韻に浸るまもなく幕がおろされるエンディングは、私にはやはり少し物足りなさを感じる。
それがおそらく読後に私たちに考えさせる時間を与えるのだろうけど。



