筋肉少女帯の奇跡-090109_1151~01.jpg
読み終えました。
滝本竜彦「ネガティヴ・ハッピー・チェーンソーエッヂ」。

読んだ感想は……
「そうなんだよ!高校生の時ってこうだった……。」
という、共感が第一ですね。

私がこの本を読んだきっかけは、大槻ケンヂのエッセイで、大槻ケンヂが滝本竜彦さんと会った時のハナシがあって、

「「ネガティヴ・ハッピー・チェーンソーエッヂ」の中に筋肉少女帯の歌詞の影響があるコトを滝本さんが認めていた」
というコトが書かれていたからです。
滝本竜彦さんは、筋肉少女帯フリークなんですね。

それで、読んでみたら所々に出てくる出てくる、筋肉少女帯の歌詞の一部……(^-^;)
「だがしかし!」とか、
「根性無しが!」とか、
「マッハのスピードで……」とか、
「首がないんだ」とかとか……(^-^;)

コレはもう、確信犯でしょ。筋肉少女帯のファンとしては、クスクス笑うしかなかったです(^-^)

ま、そういう細部のコトは抜きにしても、かなり面白い作品でした!


「ネガティヴ・ハッピー・チェーンソーエッヂ」、
私が読んだのは文庫版ですが、単行本版は2001年12月に刊行されています。2001年当時、滝本竜彦さんは23歳でした!
驚きです。
カバー絵は、安倍吉俊さんです。


ネタバレしない程度に、ストーリーを紹介すると、
まず、主人公、17歳の高校生の山本陽介が、偶然、雪の上で体育座りをしているセーラー服の少女と出会う所から始まります……。

さて、君ならどうする?
1.話しかける
2.無視して帰る
3.じっと観察する

……ってアドベンチャーゲームか(笑)
ま、主人公は「1.」を選ぶんですが。

やがて主人公は、謎のチェーンソー男と少女との戦いに巻き込まれて行く……

まぁ、やっぱりこういう紹介しかできないですね、この本は。(笑)

でも、チェーンソー男とのバトルがメインというわけでは無くって、
それ以外のどうしようもない高校生活の方がしっかり描写されてて、
思わず私自身の高校生活も思い出されてしまった……(^-^;)

そう、高校生時代って、お金も、自由も無くって、
それでいてなんだかよくわからない、ぶつけどころのない情熱があって、将来への不安もぼんやりいつも感じてて……
もどかしい!
毎日、「何とかしたい!」って思いながら生活してるんだけど、どうにもならなくって。
周りの大人はなんだかもうあきらめちゃってるような雰囲気で、えらそうなコトばかり言ってるし……
もう自分達の出て行く社会が腐ってきてるのをわかっていながら、社会へ出るコトを考えなきゃならないという……
あぁ、そういう嫌な高校時代の思いが、この本を読んだら蘇ってきました。

あと、恋になるかならないかまだわからない時のドキドキ感とか、
(恥ずかしいですが(^-^;))
深夜に家を抜け出して、友達に会いにいったりしたコトとか、
意味なくタバコをふかしてみたりしたコトとか……。

そういうコトも思い出してみたり。


とにかく、高校生時代を思い出してみたい人には、この本はオススメ!
もちろん、高校生にもオススメです。
やり場の無い情熱の向けどころへの解決は示されていないけど、でも印象に残る一冊になると思います。

たぶん、2時間くらいで読めるんじゃないかな。
軽い文章なので、普段、読書をしない方も、すんなり読めてしまうと思います。


あと、この小説は、その戦う少女、雪崎絵理ちゃんも魅力的に描かれていますが、
何気ない脇役もしっかり描かれていて、印象的です。
主人公の隣に住む友達、渡辺とか、
バイク事故で死んでしまった友達、能登。
あと加藤先生とか、下宿先のご飯を作っている「お姉さん」とか……。
特に、「お姉さん」の顔が描写されていないだけに、気になりました……(^-^;)


と、いうわけで、高校生活のいろんなコトを思い出させてくれる小説、
「ネガティヴ・ハッピー・チェーンソーエッヂ」の紹介でした。

滝本竜彦さんはこの初作品の後、
「NHKへようこそ!」と、
「超人計画」を発表した後はしばらくまたヒキコモってしまっているようです……。
(^-^;)
なんでも、「ヒキコモリから脱出してしまうと、ヒキコモリとしてのアイデンティティーを無くしてしまう」と思ったとか……
おいおい、…(^-^;)


とりあえず、面白い作品だったので、滝本竜彦さんの他の作品も読んでみたいと思います。


へそ天!
黒水川でした。