あの人が美味しいパン屋さんに
連れて行ってくれたの  
美味しいパンとコーヒー
それから楽しいおしゃべり

もっと もっとお話をきかせて
あなたのことを知りたいの

遅めのお昼ごはんを終えて
森へむかったの

森の中のお花だとか
葉っぱが重なってできた
ふかふかの木の葉のじゅうたんのうえを
あの人と一緒に歩いたの 
 
風が気持ちいい
お気に入りのワンピースのすそがゆれて
見上げれば新緑のこもれびが照らす 
たくさんの葉っぱに守られて
花のところにはミツバチとカナブンが
夢中になってみつを吸っていた  

私もあの人に夢中で
ずっと後をついていった
 
ずっと歩いていくと  
八重桜のじゅうたんに出会った
もう少し早くこられたら 
お花見できたねと 
あの人はそういって笑った

穏やかな時間は
そこだけ時間が止まった気がした

もっと もっと
あの人のことを知りたいの

森の中を歩いていくと
池にでたの
池のふちでは亀さんが
こうら干しに上がってきていたの
あの人がこうらをさわっても
亀さんは逃げなかった
優しい人は亀さんにも優しいの

しばらくしたら 
鯉がおよいできたの
池のふちをずっと歩くと 
あっという間に鯉の大群が
あの人の陰を追いかけていた 
私もあの人のとなりを歩いて行った

鯉たちとは
バイバイして  
森の中の花をたくさん見ていったの 
わからない植物を 
スマホで調べて読み上げる私
あの人は感心していたわ

ワンピースのすそはゆれて
どこまでも歩いたわ

このまま時間が止まればいいのに
 
もう帰る時間になっちゃった
帰りの車の中で
おとなしくすわっていたの
あっという間に駅について
私は車をおりて
あの人の車が見えなくなるまで
手を振った
 
また会いましょう

あの人が歩幅を合わせてくれて
私のペースで歩いたの
こういうさりげない優しさがあるの

私はあの人にまた会いたい

八重桜のじゅうたんの上を
これからも一生
一緒に歩きたい



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