私は漫画が大好きです。数少ない趣味の中の一つと言っていいほどに。

 

高校の頃から休日に、少年ジャンプ作品をまとめ買いして休日に一気に読む。

読了後は必ず、その作品に酔いしれてキャラクターたちの言動をあたかも自分のもののように真似していました。(Lの物の持ち方とか、謎にジャンプの連数したりとか。)

 

漫画と共に様々な経験をして、沢山のことを学んできた私ですが、最近になって「こりゃ凄いや。。」という作品に会うことが出来ましたので、その作品について綴らして頂こうかと思います。

もちろん、ネタバレはしないように。

 

さて皆様、『マイ・ブロークン・マリコ』という作品をご存知でしょうか?(ナイツの漫才の入りの様になってしまいましたね。。)

 

作者は平庫ワカ先生。2020年にTV Bros.コミックアワード大賞を受賞。2021年には、このマンガがすごい!オンナ編で第4位を獲得した作品で今年2022年には俳優の永野芽郁さんが主演で実写化された、とても有名な漫画です。(ヤホーでは調べていないです、、)

 

紹介した内容の通り、2年前くらいから人気の作品でした。書店ではポップが出るほどだったので毎回書店に入る度、気になってはいたのですが、中々手に取ることが出来ず。。。

そして、つい最近書店に立ち寄った際に今だ!!と購入して読むことができました。

 

さて本題の作品について、簡単なあらすじを。

主人公が学生時代の友人の遺骨を自分の手で供養してやろうとする物語です。(簡潔にしすぎ。。)

本当にシンプルなあらすじなのですが、身がどっしり詰まっていて、重厚感がある作品でした。

 

1話目は、心をアメフト選手にタックルされたような衝撃。(もちろん実際にアメフト専修にタックルされたことはありませんが。)

この1話で私は、完全に作品の中に連れ込まれました。

 

2話目以降、1話で感情を作品に移入させられてしまったので、私も主人公のやっていることの目撃者、感覚的には同伴者になってきます。私の心はページをめくる度、主人公の気持ちに共感して鋭利な刃物で切り付けられている感覚に陥りました。

”鋭利な刃物”の正体は恐らく自分の”無力さ”。そして”切り付けられている”という感覚は無力さに直面した素直な心の感情かなと思っています。

 

この漫画の進行は主人公の一人称、自問自答が軸です。

そのため、主人公以外の登場人物たちの個性や感情を読み手側が想像しなくてはならない。

言い方を変えると想像する余地が多分にある作品なのです。

だからモヤモヤする分、「このキャラクターはこう考えていたのでは、、」「このキャラクターはこういった背景があったのではないか」などと、考察する奥行きがあり、作品に引き込まれてしまうのです。

 

主人公は亡くなった友人に精一杯向き合っていた。時にめんどくさいと思いながらも。

物語の中での台詞で主人公が「時々、どうしたらいいかわからなかった。あんたがどんどんわからなくなった。痛いよ…痛くて死にそうだ…!!」と呟きます。

相手のことを思うほど、自分は相手の人生を生きることはできない無力さに押し潰される。

(ウルフルズさんの『暴れだす』という曲の中にも同じような歌詞があったっけ、、)

私は別に友人が亡くなったとかではないけれど、恋人に病気であることを明かされて、そのまま別れを告げれらた時に、主人公と同じ様なことを心の中で呟いていました。

 

別にこの世からいなくならないとしても、一緒に笑い合える時間は永遠ではない。

お互い信頼しているから、言わなくてもわかるでしょと思っていても、相手が考えていることが一言一句わかる超能力も今の所科学的に証明されていないので、コミュニケーションの齟齬なんて容易で生まれてしまう。

でも対話したからと言って、完全には分かり合うことは難しい。だからこそ、そこに全力を捧げてやっとこさ、小さじ一杯くらい理解し合えるのかな。と作品を読み終えて思いました。

 

ここまでが『マイ・ブロークン・マリコ』の感想。(うまく作品の素晴らしさが伝わってくれ、、)

作者の先生の別の作品についても少し触れておきたいです。

 

作者の平庫ワカ先生はこの作品以外に『天雷様と人間のへそ』という初期作品集を出版していて、この作品集の中に『ホットアンドコールドスロー』という短編作品があります。

平庫ワカ先生はこの短編作品にて「コミュニケーションの祖語を埋める機会がある人たちの漫画を描きたいと思いました。」とコメントされていました。

私はそのコメントを読んで、『マイ・ブロークン・マリコ』は人間関係におけるコミュニケーションの問題提示。『ホットアンドコールスロー』がその問題に対しての解答例だったのではと考えました。

『マイ・ブロークン・マリコ』は読んだけど、短編集は読んだことないという方には、是非是非お勧めしたいです!もちろん両方読んだことない方には両方ともお勧めしておりますよ。

 

さて話を現在に戻して、そろそろ2022年も終わりを迎えます。

一年のうちに何かやり残したことがあるのではと、思い起こして今回のブログを書きました。

今後様々なジャンルの所感を定期的に上げていこうと思っております。

図々しいですが、少しでも皆様がコンテンツを楽しむ参考になったらとても嬉しいです。

 

では、また。

 

※参考文献及び引用文献

・平庫ワカ(著)『マイ・ブロークン・マリコ』2020年1月8日初版 株式会社KADOKAWA

・平庫ワカ(著)『天雷様と人間のへそ』2021年3月8日初版 株式会社KADOKAWA