2019.10.19(sat) Zepp Divercity TOKYO tour 2nd day

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………え……!!?

イントロが流れ始めて言葉を失う。

まるで身体中の水分が溢れ出てきているんじゃないか、っていうくらい

一気に涙が零れ落ちる。

聴きたい、聴きたい、聴きたい……。

ずっと心の奥で思い続けていたあなたの楽曲。

ずっと心の奥で燻り続けていたあたしの感情。

-愛してくれない-

創った頃の細く高い伸びやかでひんやりとした透明な声。

今のあなたの少しだけ太く、だけどよく伸びる暖かな高い声。

昔と全然変わってない!

そう思うけれど、やっぱり少しだけ熟した声になっていて。

この曲や「どんなことをして欲しいの僕に」は

なかなか難しいのかしら。

……イケナイコトカイ、大丈夫なのに……。

たぶんもうステージでは聴けないんだ、って思い込んで諦めてた。

昔、何度か喉のトラブルでライブが出来なかったこともあった。

少しづつ、声が太く低くなっていって。

どうか無理をしないで、って気持ちが強く大きくなっていたあたし。

今でもね?車の中、このアルバム(3rd album「靖幸」)を聴くと

色んなことを思い出すの。

発売日を知ってレコード屋さんに行き予約して、

そこから発売延期になって。

2ndアルバムもあの頃はハイペースでシングル・アルバムが出るのが当たり前の時代、

あなたは時間をかけて、満足出来る作品を創って聴かせてくれた。

出るのが遅い、って言われていたよね(笑

待って待って、ようやく発売日、

嬉しくって受け取りにお店に大急ぎで行って。

3rdアルバム、ピンクのジャケットあなたの顔写真が大きく載っているジャケ写。

おじさんが「そこにポスターあるから持って行って」って(笑

自分でゴソゴソあなたのポスター探して持って帰って。

いただいたポスター、家に帰って広げて眺めて

躊躇いなく壁に貼りました(笑

後に何かの番組であなたが答えていたのを覚えてる。

「作品はずっと残るもの。後で聴いて後悔するような作品を出したくない。」

あなた自身が納得出来るまで発表しない。

きっと出しても素晴らしい作品に違いないんだろうけど

あなたの頭の中にある楽曲の形じゃなかったんだろうな、って。

DAOKOちゃんと楽曲創った時も、彼女があなたから

「楽曲は、アニメーションが終わった後も残るもの。アニメーションを知らない人が聴いてもわかる曲を書かないといけない」

そう言われた、って。

あなたの生み出した子どもたちは、

あなたがたとえばいなくなったとして。

その後の次の世代の人たちに遺るもの。

あなたの名前と楽曲は、永遠に消えることが無いもの。

だから、納得出来ないものは出さない。

あなたはそれを、20代前半からやり続けてて。

あたしはあなたの考え方、生き方を尊敬したの。

あなたの曲を聴いているとわかる。

曲が生まれて世の中に出て一時ヒットチャートに名前が出ても

時代とともに消えてしまったり「懐かしい」って言われて終わってしまう曲が多い中、

あなたの曲はいつ聴いても「今」の曲なの。

見えない努力を人一倍してる人。

それを全然見せない人。

アルバムが出来て、発売されても

ひとつもアレコレ言わないで「思うように聴いてもらえたらいい」って。

「自信作が出来ました」のたったひとこと。

そんなのわかってる。

自信作じゃなかったら、あなた出さないでしょ?って

思わず笑ってその文字を指でなぞるあたし。

この「靖幸」も、受け取って急いで家に帰り

コンポに張り付いて聴いたのよね。

楽しい曲、切ない曲、バラエティに富んだ曲の中、

この曲が流れ始めた時に、あたし慌てて歌詞カードを読んだの。

曲から広がるイメージは、まるで古い洋画……そうねフランス映画を見ているような。

歌詞を読みながら、曲の中の人物(あたしの中ではあなたでした)が

歌詞そのまま、頭の中のスクリーンで物語りを綴っていて。

ポロポロ涙が溢れたのを覚えてる。

以来ね?

条件反射みたいにこの曲が流れると泣くのよ?あたし(笑

心臓をぎゅうっ、と握り潰されるような

呼吸が出来なくなるような

切なくて、哀しくて、だけど登場人物が果てしなく愛おしくて美しいストーリー。

あの日この曲に出逢って、二度目の恋に落ちました(笑

最初はあなたのデビュー曲。

これはもう、衝撃だったけど、

この楽曲で落ちた恋は、それとはまた別の恋。

あたしね?

あなたの曲に出てくる"人(あたしの中ではあなた)"が

どの曲も愛おしいの。

どのアルバムにもいる「あなた」が愛おしい。

その中で

たぶんもう聴けないものだ、って諦めてたのが

「愛してくれない」だったの。

聴きたい、だけど無理はしないで……。

そう思ってた曲のイントロが流れてきた瞬間、

身体中の力が抜けて、一気に涙が溢れ零れ落ちました。

ステージの上、丁寧に歌ってくれているあなたを見つめながら。

あなたの唇から流れる、甘く柔らかく優しい歌声に

ただただ……ありがとう、って。

あなたは後ろ手に隠し持っていたプレゼントの箱をそっと目の前に出して蓋を開けてみせてくれて。

あたしは崩れ落ちないように、左にあるポールに捕まりもたれ、聴いていました。

MCでベースマンが「リハーサルでは何度か歌ってた」って。

でもきっと、あなたの中で本番で歌わない理由があったんだろうな、って

そんなこと思いながら話しを聞いてました。

あの頃より、少し太いしっかりとしたファルセットで

温もりのある「愛してくれない」を聴かせてもらえました。

またいつかどこかで聴かせてもらえると嬉しいんだけどな。

あなたの心の中を見せてもらったような。

そんな錯覚をおぼえました。

ゲストの方が来られるステージ、あたしは初めてだったから

RHYMESTERの方が出てきて、呆気にとられて口開けて眺めてて。

怒濤の勢いで歌が始まり、

え、何?!どういうこと?!これは……何なの?!

って、呆然としてるうちに曲が終わっちゃって

終わってから、あなたとRHYMESTERのコラボ曲が出ます!とっくに創ってました!!って。

もうね……嬉しいが沢山で、笑顔なのに泣いちゃった。

岡村靖幸さらにRHYMESTER「マクガフィン」楽しみです。

弾き語り、あたしの大好きなBeatles、ジョージ・ハリスンが創った

(※後半のプリンスがめちゃめちゃカッコイイです!)

ギターでほんの少しだったけどあなたの声で聴かせてくれて。

この曲もね?あたしやっぱり泣いちゃうくらい好きな曲だから

思わず涙が零れました。






以前は「どうしてそんな大切なこと、話してくれないの?」って思ってたけど

知らないほど、歓びが大きいのね。

それを教えてくれたのもあなたでした。

自分のアルバムやライブの告知をしないのも

きっと思ったように仕上がったっていう自信があるから、よね?

いつも驚かされてばかりだけど

そのサプライズの後に残る幸福感がたまらなく好きです。

そしてそれを与えてくれるあなたが

あたしは本当に本当に大好きです。

……そうだ。

「だいすき」「愛はおしゃれじゃない」のときにあなたがしも手に来てくれて

目の前で歌ってくれる、そのあなた。

あたし最近ようやくそのあなたの顔を見ながら一緒に歌えるようになりました。

あなたがステージ中央に戻る背中を見ながら

一気に恥ずかしさが込み上げてくるのは、相変わらずなんだけど(笑

一生懸命、心の中「あたし、あなたがだいすき!」って思いながら歌っていますから。

嬉しかったり、切なくなったり、楽しかったり。

こんなに感情の起伏の激しくなるコンサートはたぶんあたし初めて。

でもね?靖幸。

こんなに嬉しくて楽しくてたまらないコンサート、

やっぱりあなたにしか出来ない、って。

あたしは思うんです。

忘れられない宝物をありがとう、靖幸。