そのとき男は | 旅の途中にて

旅の途中にて

✪✡★☆☆

ほんのりとすれ違いざまに香る匂いがした

どこか覚えのあるその香りは一瞬だが

振り返る気持ちに躊躇してしまうのである


意地を張るのではなくて恥ずかしさでもない

照れ隠しのキザならもうずっと昔に忘れたはず

蓋をして鍵をかけた想いの箱から抜け出したのか?


幼い時から変わらない男は匂いに敏感なのだ

女はそれを知ってか知らず悪戯に惑わせる

言葉よりも激しい・・・よりも確実に心を射抜く