「なんで、ピアノなの?どうして……!?勝手に……!」

あの時は気が動転していた。

私の未来を勝手に決められてしまったから。

ピアノ学校に行く事を勝手に決められていたのだ。

私には音楽が向いている。だからピアノを始めろ。

そんな勝手な事を受け入れられるのだろうか?

当時、小学3年生の私には親の意見など受け入れられる訳がなかった。

しかし、その未来を断ち切ったのも親。

私がピアノ学校を楽しむようになり、ピアノを好んだ6年後の親の死。

その時の私の年齢は中学3年生。

私の未来を断ち切る遺言を残して……。


『玲音が音楽を続けるのを止める事。これだけが僕らの望み。』

そんな遺言を残して事故で死んでしまった。

自殺とも言われているが、親の事は分からない。

遺言には音楽の継続の禁止の理由も事故の事も書かれていなかった。

多分、私を引き取ったお母さんの姉なら知っている。

しかし、私には何も言ってくれなかった。

ピアノを売り払って、親の事故の事を『事故』と決めつけている。

でも私は分かる。それは嘘。

どうして……親自身が押し付けたピアノを断ち切ったの?

そして、それだけを残して自殺したの?

私に何か言っても良かったじゃない。隠す理由なんてあるの?

私はその時から音楽が嫌いだ。


しかし、元々 受かっていた音楽科の高校へ。

お母さんの姉は、滑り止めだった私立の高校へ行くように言ってきた。

ただ、そこだけは譲りたくなかった。

私は昔から約束していた。幼馴染であるライバルと。

高校も同じ所に行って、一緒に音楽をする、と。

音楽は嫌い。ピアノもしたくない。

でも、高校では音楽はする。約束だけは守る。

ただ音楽は嫌いだし、あれ以来 ピアノコンサートに出なくなった。


私がその高校で、嫌いな音楽を再び始めるだなんて知らずに……。