山梨には創業113年を誇る老舗和菓子店がある。

その名も

 

金精軒

きんせいけん

 

土産物の信玄餅などでその名を聞いたことがあるだろう。

(桔梗屋じゃないからね、言っとくけど)

その本店が北杜市は白州にある。

 

 

醸造所が点在するあの白州だ。

かの有名なウイスキーもこの地で作られている。

 

この金精軒の本店は、その建物からも歴史を感じとれるなかなか趣のある店だ。通りを挟んで向かいには、山梨が誇る酒蔵『七賢』がある。

 

利用したのはある日曜の16時頃。

数組の客が出入りする程度の混雑具合だった。

店内はやや狭い印象を受けるが、それもまた良い雰囲気だ。

定番のお土産品とともに生菓子類も販売している。

 

 

夏になると、毎年の名物となった「水信玄餅」の販売に熱が入る。

話題になった当初は行列ができるほどの人気があったのだが、今はそうでもないようだ。

日曜16時でも売り切れてはおらず、購入することができた。

水信玄餅 (お茶付き) ¥540 (税込)

 

 

以前はお盆にのせて、冷茶を満たした湯呑みとともに提供してくれたのだが、昨今の情勢からか、利用時は「お持ち帰り」のみの提供。

プラパックに入れられ、お茶も紙パックの緑茶へとその形態を変えていた。

店先の腰掛にも飲食の遠慮を願う通知紙が置かれ、購入後は速やかに車内で食べるしかなかった。

少し味気ないと思いつつも、まあ仕方のないことか。

(公式サイトにも今年は「簡易なテイクアウトスタイル」で提供する旨が更新されていた。)

 

水信玄餅は舟型の容器に乗せられ、きな粉と黒蜜がそれぞれ袋と容器で添えられてくる。

木製のスプーンとともに輪ゴムで閉じられたものを開けて頂くスタイルだ。

 

 

ぷるんぷるんと揺れる様を目でたっぷりと楽しみながら、きな粉と黒蜜をかけていただきます。

いつまでも楽しんでいたいところだけれど、テイクアウトスタイルになっても寿命は「30分」と変わらないので余裕がないのだ。(なんでもその形をとどめていられないそうな。儚い菓子だぜ…)

 

 

まずはひと匙とってみると、意外にもしっかしとした質感に驚かされた。見た目に反して硬さがあり、寒天を思わせる。

ところがどっこい、口に含むと途端に液体へと変容して消え去ってしまう。

 

ぷるんとした食感かと思いきや、寒天のような硬さを持ち、しかしながら口中では瞬時に液状化する。

なんとも不思議な菓子だ。

餅(と言っていいのだろうか?)自体には特徴ある味付けはなく、ほのかに寒天の香りが感じられる程度。

餅はその不思議な質感を愉しむことに特徴があるのだろう。

風味はきな粉と黒蜜で補っている印象だ。

美味!の驚きよりも、消える!という質感への驚きの方が大きい。

 

 

確かに面白い菓子だ。

話題の品でもあるし1度は味わってみるのも良いだろう。

口中で消え去ってゆく面白い質感を体験してみるべし。

 

 

水信玄餅は販売が韮崎店、台ヶ原店の2店舗に限られているうえ、数量限定なのでその点は注意されたし。6月〜9月の夏季は毎日販売するとのことだ。

予約受付可能の旨がホームページに記載されていたので、予約していくのもいいかもしれない。

 

 

まとめ

・水信玄餅は口中で消える面白みを愉しむ菓子。

・本店はやっぱり老舗感がある

 

 

*駐車場あり。道を挟んだ向かい側に3台分ほど。

 

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台ヶ原金精軒 本店 食べログページ

https://tabelog.com/yamanashi/A1902/A190201/19000135/

 

金精軒 公式サイト

https://kinseiken.co.jp

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文責:雨吉