飛び出そうと、何度もドアノブに手をかけた。
何度も何度も。
でも、かける度に引きずられ、リビングすらも出られない。
そして馬乗りになられた。殴られた。首を絞められた。
『あ。勝てない。もういいや。』心の中でそう思った。
「殺したければ殺せば。あんたも死ぬならいいよ。そうすればあんたが世の中から消える。それが世の中のためだわ。」
「…。」
旦那はそっと手を離し、部屋の隅に行った。
今しかない!と思い、私は家を飛び出した。
オートロックの扉の遅さ。
駐車場までの遠さ。
震える手でエンジンをかけ、アクセルを踏もうとした。
フロントガラスに映ったのは旦那だった。
「俺をひいてから行け。」
「あんたをひいて、私捕まりたくないから退いて。」
「…。」スッと身をひき、車の前からいなくなった。
旦那を置き去りにして車を走らせた。
気付いたら、家を出るまで3時間経っていた。
もう二度と帰らない。