キック・アス/ジャスティス・フォーエバー | 記憶のための映画メモ

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キック・アス/ジャスティス・フォーエバー


2013年/アメリカ・イギリス/103分
監督:ジェフ・ワドロウ
出演:アーロン・テイラー=ジョンソン、クロエ・グレース・モレッツ、クリストファー・ミンツ=プラッセ、ジム・キャリー、モリス・チェスナット、他
おすすめ度(5点中) → 4.2


――― あらすじ ―――――――
最弱ヒーロー“キック・アス”と美少女助っ人“ヒット・ガール”の活躍で、フランク・ダミコ率いる極悪犯罪組織が壊滅されて3年。一度はキック・アスのマスクを脱いだデイヴだったが、再び正義の心に目覚め、本物のヒーローを目指して立ち上がる。そして、元マフィアのヒーロー“スターズ・アンド・ストライプス大佐”と出会い、ヒーロー軍団“ジャスティス・フォーエバー”を結成する。一方、前回の戦いで父を失い、父の親友マーカスに引き取られたヒット・ガールことミンディ。彼女の幸せを願うマーカスから、ヒット・ガールを封印し、普通の高校生として生きるよう約束させられる。そんな中、キック・アスに父フランクを殺され復讐に燃えるレッド・ミストは、マザー・ファッカーと名を改め、世界中から一流の暗殺者を集めて恐るべき悪党軍団を組織し、至る所で悪行を重ねていた。(allcinemaより)


―――  感想  ―――――――

パート2っていうのはいろんな進化の仕方があると思うんですが、数が増えたり(エイリアン2)、場所が変わったり(プレデター2)、1の内容を問いただしたり(エリート・スクワッド ブラジル特殊部隊BOPE)、はたまた照準を明らかに間違えてPVっぽくしたりw(ミッションインポッシブル2)とか色々ありますよね。

で、大ヒットしたキックアスの続編はどうだったかというと、数が増える1の内容を再検証する の二段攻撃だったんじゃないかと思った次第。



ヒーローの数が増えて、お祭りモードっぽくなったり、“俺は新しく出てきたコイツが好きだ!”とかっていう楽しみは増えたけど、逆に増えすぎたことが原因で薄味になってしまうキャラがいるのも否めない。



特に悪の軍団側であるマザーファッカーチームは、マザーロシア以外のキャラがあまりに立っていない。



ヒットガールと対決できる強力な悪役が必要だからマザーロシアがいるのは分かるけど、ジャスティスフォーエバーチームはそれなりに個性豊かな面々が揃ったのだから対になるような悪役がいても良かったのじゃなかろうか。デイヴの友達がコスプレしたアス・キッカーが、この役に充当すると思ったのだが、そこまで酷な話にはならなかった(ゆえにアス・キッカーには裁きが足りないと感じた)。



もっともそんなことをしようとするとこの映画は3時間ぐらいの超大作になってしまうかもしれない。だけど、正直なところ3時間でもいいと思う。だって、そのぐらいメチャクチャ楽しんでしまったんですよ。もうね、これは大好きと言わざるを得ない。


学校に行かずに修行しているヒットガールことミンディと、キックアスをいったんは卒業したけどやっぱり物足りなくなりヒーローに復帰しているデイヴ。辛い戦いをともに乗り越えた2人が揃っているだけで、もう涙腺が緩むというか。



学校生活になじもうと頑張っているミンディが、クソみたいな価値観の同級生と絡むくだりを観ていると、こーいう高圧的な同級生も、“悪”だなーと思うんですよね。



ムカつく同級生を懲らしめるために使った“ゲロゲリ棒”やトゲが出る金属バットなど、愉快な武器も多かったなー。アイテムといえば、最後の戦いでジャスティスフォーエバーチームのオジサンがスターズ・アンド・ストライプス大佐の形見とも言うべき星条旗入りのバットを使っているのとかも丁寧な演出だなーと思ったり。


レッドミスト改めマザーファッカーになったクリスがふっ切れた悪を演じていたのは良かったな。明らかに力はないんだけど、金の力で悪を結成していくのは実に分かりやすい。



正義が行使されないが故に蔓延する悪。その原因にもなっている警察がコスプレヒーローを取り締まる流れなどは露骨だけど、皮肉が効いていて好みだ。



そんななか、息子のために罪をかぶったデイヴの父親の最期は、前作のビッグダディをチラつかせて何ともグッとくる。正義の心はこの父親にありとデイヴの正義魂の源流をみた思いだ。



ミンディがデイヴを鍛えるために防弾チョッキ目がけて発砲するシーンは、前作と同じ画だからこそ、新たな師弟関係にウキウキするし、正義を貫いたビッグダディの影が全編にチラついて豊かになっている。



正義を貫くなんて狂気の沙汰、世の中的には異端の扱いだが、前作で見つめた正義への姿勢を再度見つめているのはシリーズの軸を見失っていない証拠。


ジェフ・ワドロウ監督が主題を見極めていたのか、プロデューサーにまわったマシュー・ヴォーンがしっかりコントロールしていたのか、その両方なのかは不明だけど、続編としては成功していると思う。


前作でビッグダディが死の間際ながらも「クリプトナーイト!」と叫んで戦術指南をしたようなヤバすぎる感動はなかったけど、平均的に捉えると今作の方が充実した作品になっているような気がしました。



ヒットガールを概念としてサヨナラさせた終わり方も詩的で好き。前作の彼女といつの間に分かれたか謎だったけど、デイヴも男前でしたよ。凶行の限りを尽くしたマザーファッカーことクリスが、マフィア側にどのように扱われるのかなど後日談の想像も膨らみますな。


キレイな終わり方なので続編はいらないでしょうね。くれぐれもヒットガールを別の女性にすげ替えて、場所と人物を変えただけの二番煎じは作らないでくださいね。いい気分なんですから( ̄▽+ ̄*)