フィツカラルド | 記憶のための映画メモ

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こんにちは!
大好きな映画も数日で忘れてしまう我が記憶力。
ユルユルの脳味噌に喝を入れるための映画ブログです。


フィツカラルド


1982年/西ドイツ/157分
監督:ヴェルナー・ヘルツォーク
出演:クラウス・キンスキー、クラウディア・カルディナーレ、ホセ・レーゴイ、ポール・ヒッチャー、他
おすすめ度(5点中) → 4.4


――― あらすじ ―――――――
19世紀末の南米ペルー。オペラハウス建設を夢見るブライアン・スウィーニー・フィッツジェラルドは、資金繰りのために無尽蔵のゴムの木を有するアマゾン河上流の未開地へ挑む……。(allcinemaより)


―――  感想  ―――――――

なんだか忙しい日が続きますね。というわけで久々のブログ更新。

今回は先日名画座で観た「フィツカラルド」です。ヴェルナー・ヘルツォーク特集として「アギーレ/神の怒り」と二本立ててやっていまして(もう上映は終わってしまいましたが…)、アギーレ→フィツカラルドの順で観たんですが、、、両方圧巻の映像絵巻なので疲れましたね(笑)。


19世紀末の南米。ブラジルのマナウスで有名なオペラ歌手カルーソが公演するっていうんで、ペルーのイキトスからボートを漕いでやってきたフィツカラルドと愛人のモリー。カルーソのオペラは素晴らしく、フィツカラルドはイキトスにもオペラハウスを建設しようと決意。というわけで莫大なお金が必要になり、彼は未開のジャングルを切り開いてゴム園を作ろうと考えます。しかしその土地はウカヤリ川の激流ポイントを遡上しなければ到達できず、それはどう考えても無理で、彼はウカヤリ川と並行するパテリア川を進むことに。彼の狙いは、ウカヤリ川とパテリア川が最も接近するポイントで、船をパテリア川からあげて山越えし(!)、ウカヤリ川におろすというものだった。そうすれば、ウカヤリ川の激流をスルーして目的地に到達できるというんですね。というわけで、僕たち観客は映画史に残る“船の山登り”をみることができます。


▲どー考えても、異常な光景だ。


この映画を観たのは十年以上ぶりだったんですが、まず驚いたのがフィツカラルドの人柄も含めて、ポジティブでなんだか明るい雰囲気があることですね。「アギーレ/神の怒り」のあとに観たせいか、苦しさから解放された感もあったのかもしれません。フィツカラルドは子どものようにはしゃぎ、笑い、怒ります。彼は愛されるキャラで、現地の子どもたちからも慕われていて、娼家を経営するモリーも彼の感情むき出しの人柄が好きだったんでしょう。大体冒頭で、オペラを観るためにイキトスからマナウスまでやってきたっていうのも尋常じゃありません(笑)。地図でイキトスとマナウスの場所を調べてみたんですが、ビックリしましたよ。



▲原住民を鎮めるためにオペラを流すフィツカラルドが妙に可愛いw。


船の山越えシーンは、本当にやっているだけあって地道に進行しますが、だからこそ成功した瞬間は、やったぜ!とホッとしますね。撮影当時はいろいろと事故もあったそうで、大変だったみたいです(そりゃそうだ)。


あと、原住民がいっぱい出てきて緊張感が高まりつつも、なぜか山越えを手伝ってくれるシーンは、信用していいのかどうなのかっていうドキドキ感があって興奮しましたね。


▲船の背後に、原住民が集まってくる感じとかたまらんですね。


▲船に乗り込んできた原住民は、手をだすわけでもなく。

なんなんだ、こいつらは?っていう、フィツカラルドの目つきがいいですねw。



▲後で理由は明らかになるんですが、原住民は山越えを手伝ってくれるんですね。


▲実際に撮影現場でこんなことをやっていたのか~。


いやー本当に執念の映画だ。いろいろ解説を調べてみたんですがその中でシックリきたものがあって、「この映画は実際に山を越えてしまうことが重要なんだ」と。それは何だか説得力がありました。こんな映画を作ろうとするヘルツォーク監督(もはや映画監督ではなく、大建築の現場監督みたいだw)も、こんな企画にのっかるスタッフも、劇中のフィツカラルドも不可能に挑戦しているんですよね。それを文字通り「乗り越える」というところにグッとくるというか。川を遡って終いには山を登るという映画自体の構成もテーマにピッタリです。



▲ちなみにモリー役のクラウディア・カルディナーレも健康な色気を放っておりましたな。


▲せっかく山越えした船を、原住民によってウカヤリ川の激流に流されてしまう後半。

これには理由があって、原住民は激流の荒ぶる神様を鎮めようと船を流したんです。これをするために何か月も山越えを手伝っていたってことだったんです。


このシーンだけは模型が使われていますね。まぁ、これを実際に撮影していたら死人がポンポン出てしまうんでしょうね。


つーわけで、やっぱり素晴らしい映画でした。