進んでは、横たわり | 4コマ漫画「アメリカは今日もアレだった」

4コマ漫画「アメリカは今日もアレだった」

アメリカ暮らし漫画と昔の日本での愛犬物語です。

 

「それにしても運がわるい」
 お医者は、言いました。
これは八月の子宮蓄膿症にうちつづく、ピピの災難のことなのです。


欲張りなピピ。
ピピは、病気という病気に、ぜんぶ手をつけてみるつもりなのでしょうか?
ピピはまるで、そのたっぷりした顔のカバンに

せっせ せっせ せっせ!!

と病気を詰めこんででもいるようです・・・

 

でも、これはピピのせいではありません。
ピピは元気に生まれ、あかるい性質でちゃんと育ちました。
そのピピの強さに甘え、きつい薬の注射を打ち、副作用で病気にさせ、ピピから子宮をとりあげたのは、わたしです。
その手術のあと、すぐにピピを水場の山へつれていって遊ばせたのは、わたしの母です。
今年の暑い暑い厳しい夏も、水場の山に特別なダニがいるのも、ピピのせいでは、けっしてないのです。

 

 

月曜日の夕方、わたしはピピを外へつれだしました。
病院へいく前に、おしっこをさせておかなければなりません。
ピピは気持ちだけはしゃぐのか、いそいそと道を進んでいきます。

「・・・ピピきー。早くおしっこをして、病院へいこう」
 わたしが止めようとしても、ピピは

どんどん どんどん 

家から遠くへ歩いていきます。
でも、そのうち急に道の真ん中でからだを投げ出し、じっと横たわってしまいました。

 

しばらくすると、ピピは立ち上がって進みます。

そしてまた、とつぜん横になります。

学校帰りの女子中学生たちが、自転車に乗って通りすぎます。
わたしは横たわったピピのそばで、心細く突っ立っています。
あたりはだんだん、灰色に暗くなっていきます・・

 

とうとう、わたしはむりやりピピの方向を変えて、車に乗せ、病院へ向かいました。