雨の日の犬の決心 | 4コマ漫画「アメリカは今日もアレだった」

4コマ漫画「アメリカは今日もアレだった」

アメリカ暮らし漫画と昔の日本での愛犬物語です。

 

 けれど、ある雨の日のことです。

 

ピピはわたしと出かけました。

わたしは傘をさしていますが、ピピは手ぶらです。

どしゃぶりではないけれど、手加減せず休みなく、雨はふりつづけます。

 

わたしたちは、家の脇を流れる水路ぞいの細道を通り、海岸道路へあがりました。
(ぱしぱしぱしぱし ぱしぱしぱしぱし)
雨は、速い音符のようにふりつづけます。

 

わたしは、前を行くピピの、小さなまるい背中をあやぶみながら進みました。

黒い、みじかい毛の背中に、つめたい水がふりかかっています。

水はしみこみ、ピピのせなかも、顔も耳も、したたかに濡れつづけているでしょう。

 

10メートルもすすんだところで、ピピのスピードが、急にのろくなりました。

 

「ちょんちゃん、帰る?」

 

わたしの声を合図にしたように、わたしたちは、ぴたりとその場に止まりました。

ピピは数瞬間、考えたようです。

 

 

そして
(くるり!!)
 と反転すると、すたすた家へ向かいました。


この時から、ピピは雨の日に暴れるのをやめました。

寝箱にはいり、ひたすらねむりつづける方針に変えたのです。