追加楽器を加筆し修正。2019.11.2.Sat

バストランペットは低音が出しやすいと思われがちですが、実際は出せる音域がトランペットより1オクターブ低いというだけで
す。
トランペットの低音域がバストランペットにとっては中音域なので、その音域は出しやすいのですが、バストランペットにとって
の低音域である「ロー」や「ペダル」を出す時はトランペットと同様です。


所有のバストランペットを紹介します。


①ゲッツェン・バストランペット
ベル径:約20 cm
全長 約60 cm
重量 1814g

アメリカの金管楽器メーカー GETZEN製。
元々はトランペットを吹いていたのですが、男性の声に近い音域で吹きたいと思い中古を安く譲り受けました。
ベルに修理跡が激しくあり、取れている支柱もあり、ラッカーはボロボロで、見た目は最低。
製造中止モデルです。

低音トランペットとは言い難い音で、トロンボーンとトランペットの中間的な音色です。
古くて吹き込みが十分なので管鳴りは良好で、ピッチは正確なほうでリップコントロールで修正可能。
重くて、長くて、構えているだけで疲れます。
第3トリガーがありますが、重さのため気安く使えません。


②ヨーゼフ・リードゥル バストランペット
ベル径:約16 cm
全長 約64 cm
重量 1569g

チェコの金管楽器メーカー、Josef Lidl Brno製。
知る人ぞ知る、天下のチェコ・フィルが購入するために特別に作らせる、らしいです。
といっても、それはロータリー式のほうで私のはピストン式。
ピストン式は製造終了。
独特なピストン構造で、かちっと嵌まる感じに押す必要がある、クセのある奴です。
ゲッツェン・トラより細長く、ピストン位置も唇から遠く、ピストンのばねが固めなので激しくピストンを動かすと揺れます。
第1トリガーがありますが、重さのため気安く使えません。
リードゥル製全般、ピッチが高く、主チューニング管をかなり抜かないといけません。
抵抗はかなり強くパワーが要ります。
ゲッツェン・トラより、トランペット寄りの音色。
お気に入りですが、音に厚みが無く、ピストン操作がしにくいのが難点です。


③ジンバオ ピストン バス トランペット
Jinbao Bass Trumpet JBBT1900 B♭調
ベル径:155 mm
全長 約64 cm 管内径:11.66 mm
重量 1495g

気安く使える楽器が欲しくて廉価中華楽器に手を出しました。
総額3万8千。
色々なブランド名で出品されていますが、形が同じなら、ロゴ彫刻の違いだけのOEMです。
写真で見た感じでは、KnightやJAZZORやBehning&SonsなどがOEMっぽいです。
インプレです
じっくり見れば細かい部分のつくりこみは価格なりです。
管の取り回しが独特で変な形。
ネットでコピー元らしきバストラを発見。
ゲッツェン 300 バストランペット。
通称フランペット Frumpet、F管です。
人気のあるフランペットをキーを変えてコピーとはさすが中華。
重量バランスがよく、構えると軽く感じます。
ピストン・ボトム共に、キャップのネジ山精度は中華レベル。
ナメないよう慎重に扱う必要アリ。
1stトリガー付きで、スムーズ。
重量バランスがよくて持ちやすいのでトリガーを使えそうです。
運指によるピッチのムラは調整可能。
抜き差し管でそこそこ調整できるので、トリガーを使わなくても替え指やリップコントロールで何とかなります。
リードゥルに似た抵抗ある吹奏感。
管の太さが細くて、ベルも小さい。
さらには、マウスパイプが3番シリンダーにつながる取り回しがU字管みたいにすごくタイト。
本体が軽いのに抵抗が強いのもうなずけます。
音色は?
ピストン・リードゥル風で、トランペットっぽい音と言えなくもない。
反面、ゲッツェン バストランペットのような重厚感のある音ではありません。
いいマウスピースで音質向上を図る必要アリ。
ちなみに、本気モードの大きい音で吹いたらあっさり音が割れました。
Low音域は重厚感に乏しい音。
バストランペットとしての役割を果たしません。
Middle音域も重厚感に乏しい音。
同じ音域のトランペットのLow音域よりも柔らかい感じ。
High音域以上は出るだけ。
軽量の安物らしいペラペラ・キンキンの音。
安物中華、バックやゲッツェンのバストランペットほどの音の出しやすさはなく、楽器任せではピッチが安定せず、金管初心者向きとは言えません。

中華の バストランペット  その後
気になる点がいくつか出てきました。
一つ目は音色。
何年も吹いていますが管鳴りしません。
ゲッツェンやリードゥルでは管鳴りするので、私が下手だからというわけではなさそうです。
二つ目は、抜き差し管が緩くなってきました。
全部ではないのですが、ちょっと触っただけで動いてしまう抜き差し管が出現。
いじり過ぎということはありません。
三つ目は塗装。
常時手が触れる部分の塗装はありません。
いかにも安物金属が錆びてますという汚い感じ。
四つ目は、ピストン精度。
動きがすぐに悪くなり、バルブオイルの消費量大。
未だに摩耗粉が出ています。
近いうちにユルユル・ピストンになりそうです。
最大の長所を書き忘れていました。
中華ジンバオにはほとんどのトランペット用のマウスピースが嵌まります。
トランペット用マウスピースは、痩せた変な音しか出ませんけどね。
シャンクに嵌め傷がつくので、自己責任でお願いします。


④リードゥル・ロータリー
ベル径:約155 cm
全長:約66 cm
重量 1535g

ロータリーに興味はあったものの、メリットを感じなかったので手に入れることは無いと思っていました。
今回、見つけたのは破格の安値。
中華ジンバオ新品より1万高いだけ。
迷わず速ゲット。
届いてみるとかなり状態のいいもの。
さて、インプレ。
一般に、ロータリーはピストンよりベルが大きいのですが、こいつはリードゥル・ピストンより5 mmベルが小さい。
基本の管径もリードゥル・ピストンより細い気がします。
それなのに、メーカーがわざわざ作り分けているだけのことはあり、ロータリーのほうがずっと柔らかい音です。
管径が細いのに抵抗もピストンより少ない。
深めのカップのマウスピースで、そっと優しく吹くのがよさそうです。
持ちにくさが大きな欠点。
横から両手で挟み込むように構えると、左手がメカ部に干渉して吹けません。
試行錯誤の末、メカ部より前(ベル寄り)で親指の股にベル管を乗せ、残りの4本の指でベル管を掴むようにするという構え方に落ち着きました。
って言っても、あんまり吹かないのは目に見えてます。


⑤ホルトン バストランペット Model 58
1949(?)-65 Model 58 Bb Bass Revelation

ベル径:約15 cm
全長:約65 cm
重量 1661g

ひそかに中古を探していましたが、あきらめ半分。
いや、ありました。
小サビや、ラッカーの小剥がれが目立つものの、ヘコの少ない、50年以上昔の中古としてはまずまずの上物。
リードゥル・ピストンよりさらに細長く、ピストン部はかなりマウスピース寄りでベルが遠く先重です。
ずんぐりしたバックやゲッツェンとは違いスマート。
リードゥル・ピストンより管の取り回しがタイトで前後にさらに細長い。
大きなトランペットと呼ぶにふさわしいフォルム。
実にきれいな形です。
トリガーはついていません。
吹いてみました。
トランペットっぽい音ではなく、音に厚みがありトロンボーンの響きが勝っています。
それにしても、抵抗が恐ろしく強い。
所有のバストランペットでは、リードゥル・ピストンがずば抜けて抵抗が強いのですが、それをあっさり上回る強さです。
また、さすがに長期間の使用でピストンクリアランスが大きくピストンの動きに難アリ。
とりあえずヤマハのビンテージオイルを使用。
倍音が豊かな赤ベルで響きがあり、低音域は厚みのある音。
残念ながら私にとってはトロンボーンっぽ過ぎます。
抵抗が強すぎるので吹きこなすにはかなりの練習が必要。
管鳴りさせるのにはかなりのパワーが必要。
出しにくい音もちらほら、どうやらマウスピースとの相性によるよう。
マウスピースを選ぶ楽器とは面倒くさい。
ゲッツェンやリードゥル・ピストンよりレアな一本。
コレクター愛蔵品となりそうです。

番外編

⑥ゲッツェン・バルブ・トロンボーン 「ゲッツェン・トロ」
ベル サイズ 約20 cm

普通のトロンボーンにスライド管とバルブ管がセットとなったものです。
「Getzen Eterna 998 バルブ & スライド トロンボーン」が正式名称。
さすがゲッツェンのバルブトロンボーン、「イイ音」です。
「ゲッツェン・トラ」は「トロンボーンっぽい音」ですが、「ゲッツェン・トロ」は「トロンボーンの音」です。
バストランペットより抵抗が少なく、息が多く必要。
ピッチのばらつきに関しては、リップコントロール範囲内。
トロンボーンなので左肩上に構えますから重さは気になりません。
トリガーはついていません。


⑦コンパクト・トロンボーン 「マルカート」
ベル径:約22 cm
全長:約52 cm
重量 1785g

台湾の金管楽器メーカー MARCATO (マルカート)製 の ピストン・バストランペット 「MB-100S」
バストランペットではなくマーチング・ピストン・トロンボーンです。
バストランペットより太短く、取り 回しの良さはダントツ。
でも、重いので長時間保持するのは困難。
第3トリガーがありますが、重さのため気安くは使えません。
水抜きが2個。
音色はまさにバルブ・トロンボーン。
抵抗は少ない。
ピッチは正確とは言い難く、長時間の調整が必要でした。
プラスチックにメッキ塗装したような白っぽい色が安っぽい。
見た目は、中華製 J・マイケル「B-801N」と同じもので、管やケースの「ロゴ」の違いのみ、OEMのようです。
ネジ溝の精度は最低最悪でネジ山をナメそう。
ゲッツェン・トロは気軽さが無く、普段使いできないので安価品を購入。
ぶつけて、小エクボが2つ出来ています。
気軽に使っているとこうなります。