●16センチフルレンジスピーカーの試聴


さて、今回自作したスピーカーの傾向が見えてきたので、簡単にレビューしてみたい。ここでは自作スピーカーをひとまず「フルレンジ」と呼ぶ。結論からいうと、フルレンジは良かった!笑。


比較の対象として、普段使っているスピーカー、ヤマハの「BP401」(13センチ2ウェイのバスレフ型)を用いて評価してみる。ちなみにBP401はコンパクトのボディの割に低音の量感があり、中域、高域もナチュラルに伸びていて、癖や特徴をあまり感じないスピーカーだと思う(アマゾンのレビューなども参照ください)。


まずジャズを聴いた印象は、フルレンジの方が好み。生ギター、ピアノ、管楽器などアコースティックな楽器の再現性が生々しくて素晴らしい。ウッドベースはBP401の音より存在を一回り大きく感じるし生っぽい。ドラムのシンバルの響きなどもフルレンジの方が派手な感じがする。

ジャズに限らず、アコースティック系やオーガニックな音楽には最適なスピーカーだと思う。


一方、今のロックやメタル系を聴いた印象は401の勝ちかな。フルレンジも頑張っているが、重低音は401に負ける。それと楽器数や凝ったアレンジなど、情報量の多い録音の再生はディテールなど401に分があるようだ。


ボーカルも全般的に401の方が声に深みがある。フルレンジはボーカルがやや薄く紙っぽい印象。だからと言って悪いわけではなく、好みの問題かもしれない。


音域的には、フルレンジは中高域が前に出てくるので、比較すると、401はおとなしく感じてしまう。低音はフルレンジも十分出ているが、401はさらにその下の層まで鳴っている感じで重量感がある。ちなみにフルレンジの再生周波数はスペック上85Hz~20kHzなので、低音は出ないのではと誤解されがちだが、そんなことはない。ベースの4弦(E(ミ)約41Hz)は十分に鳴る。ピアノの最低音のA(ラ)の27.5Hzが聴こえるかどうかは未確認。


というわけで結論として、いかにもバスレフ型フルレンジらしく、ジャズ系を聴くには最適のスピーカーになったと思う。

もし今回仕上がりが残念な音になったら、ユニットをフォステクスの16センチに取り替えるつもりだったが、私の駄耳には十分満足な結果となったので、当面このまま使っていこうかと思う。