しかも脚本がクドカンって、ちょっとした驚きです。

これは期待して良いのかも知れませんね・・・。

■台湾映画『1秒先の彼女』


 

もう最高でした。最高の映画だと思いました。個人的には香港映画『恋する惑星』と同じレベルの映画だと言っても過言ではない気がしています。

ストーリーはかなり奇想天外で、人よりもタイミングの少し早い女性とタイミングの少し遅い男性との奇妙なラブ・ストーリー・・・と言ってしまうと身も蓋もないのですが、あまり詳しく書いてしまうとネタバレに繋がってしまいそうなので注意が必要です。説明が難しいというより説明のバランスがとても難しい感じです。

というのもですね。この映画は先の読めないストーリーなので、内容は伏せておいた方が絶対に良いと思うのです。知らずに鑑賞した方が絶対に面白いです。あの驚愕の展開を、作品鑑賞して是非体感してほしい、と切に願います。



 

できれば予告編も見ない方が良いと思うのですが、さすがにそれじゃ観ようと思うモチベーションなんて生まれっこないと思うので(笑)、一応予告編は貼り付けておきます。あまり深く考えず雰囲気だけでも感じてもらえれば。と思います。

この映画は台湾映画を観たことの無い人の最初の一本にもってこいの作品です。むしろ、アジア映画や台湾映画を避けていた人にこそ見てほしい作品です。多少、台湾映画独特の小難しさはありますが、エンターテイメント映画としても十分に完成されているので、誰が観ても楽しめるでしょう。

ラストシーン、ヒロインの号泣するシーンには胸が熱くなりました。これが見事なんです。演技、脚本、演出、撮影、編集、音楽、ローケーション、どれをとっても最高な作品です。マジで台湾映画の底力を見せつけられた気がします。


あまりにも良かったのでサウンドトラックCDも新品を定価で購入しました。CDを定価で買うなんて10年以上ぶりですよ・・・。

■映画監督『チェン・ユーシュン』


 

90年代中頃のデビュー作『熱帯魚』が好きでDVDも持っていますが、他の作品は観る機会がなくて全て未見でした。

特に追っかけている映画監督ではなかったので、今まで全く気にしていませんでしたが、この作品を知った時は何故か「観たい!」って思ったんです。でも、既に劇場公開の終りギリギリくらいのタイミングだった為、スケジュールが合わず劇場での鑑賞は断念。DVDのレンタル開始で初めて鑑賞する事ができました。


映画を観終わってまず、『1秒先の彼女』の脚本を監督の『チェン・ユーシュン』が書いていた事に驚きました。

こんなファンタジー過ぎるというかSFチックなラブ・ストーリーの脚本を、60歳にもなろうかという『チェン・ユーシュン』が書けるなんてとても信じられない!と思ったのです。でも後から、脚本自体は20年以上も前に書き上げたものという事が分かり、そこはとても納得できる話でした。この映画の発想は頭の固い年寄り(すいません!)には絶対に無理ですから。頭の柔らかい年齢じゃないと生まれてこない話だと思いました。

20年も経って今の時代によくぞ映画化してくれたもんです。映画化してくれてありがとう!と本当に思います。

 



この作品についての詳細は『ユリイカ 台湾映画の現在』という雑誌に詳しく書かれています。監督『チェン・ユーシュン』のインタビューも載っていて、とても奥の深い内容が読めます。作品を深掘るには最適な1冊だと思います。

雑誌には『チェン・ユーシュン』についての記述も多く見られますが、『台湾ニューシネマ』に関する事とか、2010年以降から急に増えてきた台湾のエンタメ映画作品の理由等も書かれていて、とても腑に落ちる内容の濃い一冊となっていました。

特に台湾映画『海角7号』の存在の大きさには目から鱗でした。台湾映画に興味のある方なら読んで損はしないですよ。

■日本映画でリメイク決定

本当に驚きました。台湾映画の日本版リメイクって『あの頃、キミを追いかけた』に次いで2本目ですよね?。

映画のリメイクには批判的な私ですから、「嬉しい!」というような感情は全くなくて、だいじょうぶなの?という不安の方が大きかったりします(大きなお世話でスイマセン)。でも、脚本がクドカンですから。何かまた普通と違った展開があるのかも?、という期待感が全くない訳でもないです。

リメイク版の『あの頃、キミを追いかけた』が少し残念な出来でしたので(個人の感想です)、二の舞だけは避けてほしい、と強く願います。オリジナル版が出来過ぎている作品ですから、リメイク版がオリジナル版を超える事はないとは思います。只、ガッカリな出来にはしてほしくない、というのが素直な気持ちです。スイマセン上から目線で・・・。

リメイク版の『あの頃、キミを追いかけた』はキャスティングが失敗していたので(個人の感想です)、同じような失敗はしてほしくない、という気持ちもあります。それと、只のアイドル映画には絶対にしてほしくない、という思いも強いです。

公開は2023年の予定なので結構先の話ですが、あっと言う間なんでしょうね。

今のところ期待半分不安半分といったところです・・・。



台湾映画『1秒先の彼女』は映画館で観るべきだった!と相当に悔やんだ作品です。

あまり言えませんが、あのシーンやあのシーンなんて劇場の大きなスクリーンで観たかったです。絶対的な迫力を感じたと思います。小さなモニターとは比べようがないくらいに。

台湾映画特有のロケーションの良さも際立っていました。台湾映画ってロケーションが本当に良いんです。これはお勧めできるポイントのひとつでもあります。

台湾アカデミー賞を最多の5部門で受賞したというのも納得の作品でした。

(終わり)