あんたがやってちょうだい

 

カットをしたくて 美容院で順番がくるのを待っていました

するとお年寄りが来て

あんたが切ってちょうだい と突然言い 

わたしはしどろもどろ

 

困った! 資格ないし 子供の頃に ごっこ遊びをしたくらいで

本当に人さまの髪をきったことがない

 

でもその老女は椅子に乗っかって待っています

仕方なく 見よう見まねで首にタオルを巻いて

くるしくないですか~ と声をかけ

すきばさみのようなもので カットを始めました

 

小柄な老女はするすると椅子のうえで滑ってしまって

なかなかうまく切れません

 

これを使うといいわ と美容師さんにいわれて 差し出されたはさみ

それを使ったら思うように切れて いい感じになりました

ボサボサ頭だったのに こじんまりとした感じのボブ

20歳は若返りましたね~というと

老女は喜んで そう^^ と言いながら鏡を見ていました

 

わたしは仕上げのカットを ・・

はい、きれいにできましたよ 

 

鏡にうつった老女の小さな体と顔は

眼鏡をかけてなかったけど

母 でした

 

髪が長いのが大嫌いだった母が

切りたくて 夢の中で わたしにカットさせたのかな

 

また伸びたら 切ってあげるから

今度はもっと上手に切るから

真夜中の美容院へ来てね お母さんばあば

 

いつでも歓迎´v`