「落下の王国」 物語の力
2006年の映画だから、20年前なのだけれど、私は初めて。原題はThe Fall。直訳の「落下」とか「落ちる」だけでは売れないでしょうね。「落下の王国 4Kデジタルリマスター」https://rakkanooukoku4k.jp/スタントマンのロイ( リー・ペイス )は、鉄橋から飛び降りて馬にまたがる筈が、失敗して足を骨折。映画女優の恋人にも去られて、死にたいと思いながらも、病院のベッドで動けない。そこに手を骨折した少女アレクサンドリア( カティンカ・アンタルー )が現れ、ロイは彼女の機嫌を取って、薬品戸棚から睡眠薬を持って来させて、自殺を図ろうと考える。退屈しているアレクサンドリアは、ロイに「お話しして」とせがみ、ロイは様々な物語を展開する。映像は現実のもの淋しい病室と、ロイの豊かな空想の世界を行き来する。ロイが主人公を死なせようとすると、アレクサンドリアは「お願いだから、殺さないで」「立ち向かってよ!」と懇願。「ぼくのお話はハッピーエンドじゃない」というロイに、「私たちのお話よ」と断言する。そして絶望の淵に沈もうとする主人公同様に死を願うロイも、少女の思いに励まされ、いつしか生へと向かうのだ。物語に出てくる映像は、CGではなく、すべてロケだとか。その風景の雄大さ。そして物語の人々の衣装は、石岡瑛子のデザイン。ベートーヴェン第7の2楽章もよくあっている。とても美しい映画。ラストシーンの映像。アレクサンドリアの「Thank you, thank you, thank you!」の声が愛らしい。