砂の流星群外伝・岩◎落ち着きなく動く赤子
落ち着きなく動く赤子は、二重瞼の現代的な丸い目を、焦点定めを嫌うかのように、身体の動きと共に動かした。意志がなさそうな目には、赤子の無垢を強調するもやっとした空虚が漂い、母親の賢しさはまだ身にまとってはいないふりで、自分を捕まえようとするじぃじを振り回した。
あまり可愛くはないが、血が繋がっているから興味深く、親族の誰に似てるかなと眺めては様子をおもしろがった男は、その成長を楽しんだ。
孫の成長は楽しいが、その母親を好きになれない有名人は、複雑な心境を隠せず、暗澹とした顔で孫を抱き上げた。
大学でT姉元彼を振り回した往年を想い出した左絵は、実家が医者の男には金があるだろうと積極的に甘えて子どもを孕み、慰謝料や養育費をもらって安楽な日々を始めようと企んだが男には大金が払えず、それならばと左絵はさっさと産むのを止め、月々の慰謝料だけ、もらい続けた。
誰の子かはわからなかったから、関係のあった複数の男から同様に、月々の慰謝料を大学生からもらい始めた女は、月極娼婦の様に男達に「奉仕」した。
それと同じ事を、子どもを産んでからも続けた左絵は、義父に毛嫌いされているのに気づきながら、子どもを預けた。
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