なぜ、選挙の度にポスター掲示場の設置撤去が繰り返されるのか(その2) | 佐藤 政則「不易流行 -日本再生に向けて-」

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 手頃な価格のタッチスクリーン装置の画面上を、数タップするだけで、多くの情報に辿り着くことができる21世紀の今、なぜ、「ちゃちな作りの公設ポスター掲示場を、公職選挙の度に、町中の至る所に、設置しては撤去する」ことが、繰り返されるのか。

公職選挙法(昭和25年法律第100号)が公布されたのは、NHKと日本テレビが、テレビジョンの本放送を開始した1953年よりも前の、1950(昭和25)年。公選法が公布された当時のまんま、まるで、些細な変化も拒むかのように、公職選挙の公示日、告示日の少し前に、ベニヤ板と角材などでこしらえた簡素なポスター掲示板を、町中の至る所に設置し、投開票日の翌日以降に、さっさと撤去する。この工程が、70年以上、繰り返されてきました。

 

 もちろん、70年以上、誰かが無償で、ちゃちな作りの公設ポスター掲示場を設置しては撤去して下さって、今に至るのであれば、公金の使い途に関する問題は生じませんが、実際は、そうではありません。

ネット検索したら、政令指定都市である神奈川県の相模原市の数字が見付かったので、活用させていただきます(透明性が高い)。

 

 相模原市の第26回参院選ポスター掲示場設置等の業務委託に係る入札結果(中央区南区)。相模原市の人口統計。日本の人口推計。これらの数字を元に、単純に人口比を使って、「第26回参院選でポスター掲示場の設置等のために支出される公金」の推測値を、出してみます。

 

相模原市中央区の人口、274,087人

相模原市中央区の落札金額、11,803,500円(税抜)

 

相模原市南区の人口、282,895人

相模原市南区の落札金額、14,860,000円(税抜)

 

日本の人口、125,050,000人

日本のポスター掲示場設置等の費用、5,986,316,748円(税抜)

 

 かなり粗い推測値ですが、国政選挙において、ちゃちな作りの公設ポスター掲示場を設置しては撤去するだけで、約60億円(税抜)の公金が支出されます。この公設の掲示板に貼られるポスターの作成(印刷)にも、もちろん、惜しみなく、公金が投入されます。

 

 俗な言葉で申し上げるなら、公設ポスター掲示場の設置撤去、それに、公設ポスター掲示場に掲示されるポスターの作成(印刷)が、利権になっているから、公職選挙の度に繰り返されるこの「風習」が廃(すた)れないと、僕は、個人的に思っています。

この、公金の使い途に関する問題は、金額はもちろん大きいですが、ポスターに関する、別のもっと大きな問題と比較すれば、今すぐ、目くじらを立てなければならない問題ではないのかも知れません。ということで、ポスターに関するもっと大きな問題について、次回以降の投稿で、考察します。

 

 

神奈川県横須賀市にて

佐藤 政則