仮の話で御免なさい。次のようなことを、想像してみてください。あなたの愛する人が重い病に冒され、瀕死の状態。主治医は、「私の技術、力量では、これで精一杯です」と仰る。必死に探したら、名医が見つかった。この名医が施術すれば、施術歴によると7割くらいの確率で、この重い病が治るという。しかし、この名医、酒癖が悪く、過日、刃傷沙汰を起こしてしまい、今は、公判中の身。
さぁ、ここであなたは、どうされますか。瀕死の状態のあなたの愛する人に手術を受けさせることを諦め、全てを天に任せますか。この名医以外の医師に、手術を依頼しますか。それとも、この酒癖の悪い名医に、手術を依頼しますか。
内閣総理大臣による国務大臣の任命は、「その過半数は、国会議員の中から選ばれなければならない(日本国憲法68条1項の但し書き)」という制約が、もちろんありますが、基本的に、内閣総理大臣による一本釣りです。
原則を申し上げれば、経産大臣なら経産大臣として、内閣府特命担当大臣なら内閣府特命担当大臣として、「余人を以って代え難き人物」であるから、その職に任命されているのです。吉田茂内閣における吉田茂外相がそうであるように。また、濱口雄幸内閣における井上準之助蔵相がそうであるように。
大臣職を辞めれば、マスコミの追及が、どうやら収まりそうだから、とりあえず、大臣職を辞めて様子を見よう。選挙であれだけお金を使って、やっと手に入れた議席、マスコミに、あれやこれやが、ばれたくらいで、手放してたまるもんか。
そういう気持ちを、うまく隠し通した積もりでおられるのかもしれませんが、記者会見における言葉の端々や表情の端々に、隠したはずのものが出ていませんでしたか、御両人。
冷たい書き様になりますが、国民を愚弄して、なお、そのことにさえ気付かず、まるで、自己に陶酔しているかのような記者会見を行う者を、僕は、まともな国会議員だとは、思っていません。
神奈川県横須賀市にて
佐藤 政則