西瓜売り 昭和は遠く なりにけり | 佐藤 政則「不易流行 -日本再生に向けて-」

佐藤 政則「不易流行 -日本再生に向けて-」

変わらぬ理念の実現を目指し、しくみを修正する。
実態に合わなくなった諸制度を見直し、日本国を良くすることを目指す、政治ブログです。

 もしも、今、中内功(なかうち・いさお)氏がご存命で、「これ見よがしに、ビデオカメラが回っている前で水をかぶり、得意満面の人」の動画をご覧になったならば、何と仰るのだろう。同様に、長嶋茂雄氏が、そういう動画をご覧になったならば、何と仰るのだろう。

 株式会社ダイエーの創業者である故・中内功氏は、先の戦争で出征し、フィリピンで過酷な戦いを経験され、多くの戦友が戦場で命を落とす中、九死に一生を得て、マニラで捕虜となった後、復員し、神戸に戻って来られたそうです。
そして、昭和の大スター、長嶋茂雄氏は、脳梗塞で倒れられた後、機能回復に向けて、過酷な訓練、リハビリを続けてこられたそうです。

 「善をなす場合には、いつも詫びながらしなければいけない。善ほど他人を傷付けるものはないのだから」というポール・バレリー(Paul Valery)の言葉を、自身の文章の中で引用した、太宰治。
大病、難病を患い、今、絶望の淵にある人や、罹災し、今、絶望の淵にある人。そういう方々が、「水をかぶりたくなるくらいの炎天の下、楽しそうに水をかぶって、はしゃいでいる大人」の動画を、ご覧になったならば、どう思われるのだろう。

 スーパーマーケットを普及させ、皆が、腹いっぱい、すき焼きを食べることができるようにしたいという、中内氏の思い。球場で、一挙手一投足にも気を配り、華麗な動き、プレーをし、皆に喜んでもらいたいという、長嶋氏の思い。
僕が子供のころは、この時期、鳥取の西瓜を満載した西瓜売りのトラックが、そして、秋になれば、鳥取の梨を満載した梨売りのトラックが、近所に回ってきたものです。

西瓜売り 昭和は遠く なりにけり


神奈川県横須賀市にて
佐藤 政則